あぱまん情報2021年6月20日掲載 T.W.Y. バンコク都市開発研究所 コロナワクチン タイと日本のコロナワクチン状況と今後の動き

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米国立アレルギー感染症研究所
米国立アレルギー感染症研究所

 

タイ年末迄に約7,000万人の7割に接種!

タイ政府は、2021年12月末迄に、タイ居住者約7,000万人(タイ人6,700万人・外国人300万人)の7割への新型コロナウィルスのワクチン接種(一人当たり2回分)目標を掲げた(2021/5/5閣議決定)。タイ食品薬品委員会は、5月13日モデル製ワクチンを承認し、タイで承認された新型コロナワクチンは中国シノバック、英アストラゼネカ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン、米モデルナの計4種類となった。 プラユット首相は、5月24日に2回目の英アストラゼネカの接種を受けた。首相は当初、中国シノバックの接種を受ける予定であったが、同ワクチンは「60歳以上の人には推奨できない」とされていることが判明し、接種を急遽中止したという。なお、バンコク都保険局長によると、バンコク在住外国人への接種は2021年8月以降とのこと。

日本の承認済ワクチンは3つ

日本においては、厚生労働省が、ファイザー(2021/2/14承認)に続き、5月21日モデルナとアストラゼネカを新型コロナワクチンとして薬事承認した(図表1)。なお、アストラゼネカは有効性が認められる一方、欧州では40歳未満の若年層にごくまれに血栓が生じるリスクがあると指摘されていることから、当面公的接種には使わず、対象年齢など慎重に検討するという方針となっている。

主なワクチンの種類と特徴

ワクチンは、従来型の生ワクチン(弱毒化ワクチン)、弱毒株をベクター(運び屋)として利用するベクターワクチン、不活化ワクチン、不活化ワクチンの進化系であるサブユニットワクチンがあるが、今回のCOVIT-19の世界的な蔓延により、大量生産容易な新規型核酸ワクチン(RNAワクチン、DNAワクチン)の開発が積極的に行われた(図表2)。ただ、新規型は従来型と比べて使用経験が乏しく、有効性や安全性が未知数であるのも事実であることは覚えておく必要がある。

タイ人が信頼するワクチンは?

スアンドゥシット・ラチャパット大学の世論調査センター「スアンドゥシット・ポール」は、2021年5月23日に新型コロナウィルスについての世論調査を発表した(図表3)。これによると、政府のワクチン接種を64%が「受ける」、22%「未決定」、13%「受けない」と回答した。またワクチン知識について、57%が「極めてよく知っている」と回答している。一方、「どのメーカーのワクチンが信頼置けるか」(複数回答)は、75%「米ファイザー」、72%「米モデルナ」、69%「米ジョンソン・エンド・ジョンソン」、66%「英アストラゼネカ」と回答。中国シノバックの報告はなかった。

新型コロナウィルスの収束時期は新薬に影響

三菱総合研究所のレポート「新型コロナ(COVIT-19)収束シナリオ」(2021/3/21)によると、今後のカギを握るのはワクチン・治療薬の効果と変異株対応で、2022~23年にかけてはかなりの部分で行動制限の解除が期待できる。当面は発症を予防するワクチン接種に加え行動制限を維持することが重要としている。 そうではあるが、最近の情報として、新型コロナの変異株の蔓延で感染爆発が起きていたインドが、2021年5月初旬連日40万人/日超の新規感染者が確認されていたが、月末には12 万7千人/日とピークの7割減に転じている(図表4)。これは、2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授が開発した抗寄生虫薬「イベルメクチン」(注01)の効果ともいわれている。このような薬が本当に効果があるのであれば、収束時期は大幅に早まっていくであろう。イベルメクチンの投与についてWHOは現在反対しているが、WHOは以前、「マスクは要らない」という方針を「マスクが重要」と一転(2020/6/10)したように、そのうち変わるかもしれない。 (注01)イベルメクチンは、HIV、デング熱ウィルスが自己複製するために細胞核内移行をする際の酵素を特異的に阻害すること、さらにインフルエンザを含む多種多様なウィルスの複製を阻害することもわかっている。費用は10分の1以下。

T.W.Y.Co.,Ltd バンコク都市開発研究所 顧問 愛川裕二

1983年より30年間㈱大京に勤務。ビル事業、マンション本部、企画部門に配属後、1987年不動産研究誌「ランドビジネス」(経済白 書にも引用)編集長となる。1990年大京総合研究所課長を経て、1992年より建設省と国土庁の外郭団体財団法人土地総合研究所に出向、定期借地研究会事務局責任者等土地政策に貢献。2001年「軽井沢ホットスプリング」開発運営責任者となり、日本一のペット可能宿泊施設(年間4万人犬8千匹宿泊)にする。2006年以降PM,AM、コンプラ等を経て、2017年よりTWY社顧問。不動産コンサルテイングマスター、不動産証券化協会認定マスター、ビル経営管理士、コンプライアンスオフィサー、再開発プランナー

 

2021年6月20日 タイ自由ランド掲載

 

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