西野順治郎 列伝 90 第11章- 10 関係改善への提言(3)
人間関係
日本人は余りにも経営者への出世コースにこだわりすぎ、また労働組合との関係もあってローテーションを考えるが、人と人との繋がりを重視するのはタイのみでなく東南アジア全体の問題である。
日本人の場合は、ようやく現地の人たちとなじみ、言葉も分かり、仕事がしやすくなると転勤である。
本人も早く本社に帰らないと出世コースから外されることを気にする。
昔は瘴癘(しょうれい)の地といわれ早く帰国させてやらないと気の毒だということもあったが、今ではたいていの所でも冷房設備や近代生活に必要なものは完備し、また公害もはるかに少ない点からいえば環境に関する限り問題は無いだろう。
真に瘴癘の地であった時代でも欧米人の場合は年少時代に来てその後支配人から本社の重役になっても現地で勤務した人たちにはザラにある。
この場合、彼らはエキスパートとして本社でオーソドックスなコースを歩いていた人たちと劣らないだけの待遇を受け、また思い切った長期休暇(毎年2ヶ月とかまたは3年毎に6カ月間とか)を与えられるとか、それだけのことをして遇されていたのである。
日本企業の場合では、経営者になる素質のない者でも全員が我も我もと狭い経営者へのコースを走らされている。
今や企業全体がその本質を変えるべき時期ではなかろうか。例えば、100人の企業体の場合10人だけを経営者コースに進ませ、残りの90人は専門家になるような企業体も本人もその気になるよう仕向けるべきである。
もちろん待遇面における考慮も十分考えるべきである。
次にタイ人雇用の問題であるが使ってやるという考え方を放棄して共に働くという考えに徹すべきである。日本の
親会社の社員とか現地雇用という区別は廃止して能力ある人はどこまでも抜擢する。
若い日本人は、親会社の社員であっても現地人の支配人や部長の下で働くこともあるべきである。
これは、既に欧米系の会社では現実に実現していることであるが、日本人の場合は奇とするのであろう。
このことについては、内地の親会社の考え方も徹底的に変えねばならない。またこれを推進するに一つの障害となるのは言語であるが、いやしくも現地で仕事をする者は1日も早くその国の言葉をマスターし、職場は現地語でやって行くべきである。
要するに日本の国外で仕事をする限り日系企業という観念を捨て、国際企業となってゆくべきである。
このためには、親会社はもちろんのこと、日本の政府当局や金融機関も深い理解を持って企業の国際化を支援すべきである。
日タイ関係が深刻な問題に直面したのはこれまでの両国関係が経済面の接触に偏したためであるとの見解の下に近くバンコクに日タイ文化会館設立が計画されている由だが、これ迄の文化活動のように単に歌舞伎やお茶、茶道を紹介したり、きれいな日本の風景写真を見せるようなことだけでは何らの効果も期待できないだろう。
(次回号へ続く)
2024年4月20日 タイ自由ランド掲載
²: [The New York Times](https://www.nytimes.com/2018/02/03/world/asia/mount-everest-how-tall-nepal.html)
ソース: Bing との会話 2024/1/10
(1) 西野順治郎 – Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E9%87%8E%E9%A0%86%E6%B2%BB%E9%83%8E.
(2) 西野 順治郎 – Webcat Plus. http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/creator/55292.html.
(3) 西野順治郎とは – わかりやすく解説 Weblio辞書. https://www.weblio.jp/content/%E8%A5%BF%E9%87%8E%E9%A0%86%E6%B2%BB%E9%83%8E.