【なつかしい記事】アセアン各国からも日本行きビザ免除へ
昨年のタイ、マレーシアに続き、今年の6月からは日本への短期滞在を目的とするインドネシア人、ベトナム人、フィリピン人もビザ免除になる見込みで、経済発展の著しいアセアン諸国からの観光客増が期待されています。
日本は観光を成長戦略の柱の一つに掲げていますが、ただ待っているだけはお客さんはやって来ないので、日本の自治体も日本旅行を扱うタイの観光会社もあの手この手で観光客誘致を目指しています。
世界各国への海外ツアーを扱っているタイの旅行会社ゴーホリデー社の日本担当マネージャー、プックさんに聞くと、同社でもビザ免除以降、日本を旅先に選ぶタイ人が急増したとのこと。まだビザ免除から1年たっていませんが、日本へのリピーターもかなり多いそうで日本のライバルとなる中国、韓国と比べても日本訪問者はリピーターが多いと言います。
ゴーホリデー社では、人気の北海道、東京、大阪だけでなく、四国や山陰といったまだ外国人観光客が少ない地域へのツアーも企画しています。
「まだ有名でない場所のツアーは、客を集めるのは大変ですが、情報を集めて新しいルートを開拓していくのは大切なこと」とプックさんは言います。
同社のタイ人スタッフは、日本のトレンドや新しい人気スポットなど幅広いジャンルにアンテナを張っていて、またファム・トリップにも積極的に参加し情報を収集しています。
ファム・トリップとは、
familiarization tripの略で、観光客誘致のため、旅行事業者などに現地を視察してもらうツアーのこと。官庁や地方自治体が海外の旅行業者や関係者を招待して、日本の旅行社や現地の観光課の職員も同行し、主にこれから人気を高めたいスポットを紹介します。
最近では多くの地方自治体が、ファム・トリップに力を入れていて、今後はインドネシア、ベトナム、フィリピンの観光会社の参加も増えると思われます。
観光地を紹介するだけでなく、ドラマや映画のロケを誘致して新しい観光スポットを作ろうという動きも活発です。日常の風景でも観光スポットになるのですから、目を引く観光資源がなくても、集客できるのが強みといえます。
映画等の撮影場所誘致や撮影支援をする組織はフィルム・コミッションと呼ばれ、日本各地に存在していて地方自治体や、観光協会が事務局を運営しているケースが多いようです。
今年2月にタイで公開された、現在タイで人気沸騰中の男優ジェイムスと人気女優トゥイが主演のタイ映画「タイムライン」で佐賀県が舞台になりましたが、これは佐賀県フィルム・コミッションの積極的な県内へのロケ誘致の賜物。これをどうタイ人観光客誘致に結びつけるかが、次のステップです。昨年末には「Fud-Jung-To(ファッジャント)」という千葉県成田市を舞台にしたタイのコメディ映画がヒットしました。成田空港を有する千葉県は、東京五輪開催を踏まえ、外国人観光客の誘致にかなり力を入れています。
ゴーホリデー社のプックさんによると、日本を訪れるタイの観光客は今のところグループツアーが主流ですが、個人旅行も急速に増えてきていると言います。最初はグループで、次は個人でというパターンが多いようです。
タイ人観光客の日本に対する不満や改善点は、同社のツアー参加者からは特に聞かれないと言いますが、個人旅行では、グループツアーの様に、至れり尽くせりとはいかないでしょう。個人旅行では、旅行者が自力で移動するため、観光地と観光地を結ぶ交通の便がより大切なポイントになります。その点に関してJR ・私鉄・バス会社は外国人観光客誘致への工夫をそれぞれ進めています。
ゴーホリデー社には日本旅行のパンフレットやチラシが大量にありましたが、JR西日本が5月から始める外国人向けの山陰・岡山エリアパスのチラシに目が留まりました。このエリア内で、特急列車と快速・普通列車の普通車自由席が3日間、何度でも利用できるパスで4110円です。山陰・岡山にタイ人の興味を引くものがあるか考えましたが、日本国内より海外で人気という日本の観光地ができるかもしれません。
今回のビザ免除では、世界最大のムスリム人口を持つインドネシアからの観光客急増も予想されるので、日本の受け入れ側のムスリム文化への理解と対応は急務でしょう。多様な文化を持つ人々と接することで、日本人の世界観も変わるかもしれません。
年間訪日外国人旅行者数は昨年初めて1000万人を突破しましたが、観光立国を目指すということは、第二の開国とも言えそうです。
2014年5月5日 タイ自由ランド掲載