西野順治郎列伝 81 生前の足跡第11章-1 日本とタイの関係反日運動

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今から50年前、タイで反日運動が起こり日本製品の不買運動が起きたことを知っている人は、だんだん少なくなって来ています。
その渦中にあって、西野さんはタイと日本の友好のために奮闘しましたが、これらについて以下3回に渡り書き綴って行きます。
それを知るために、まず反日運動が生じた頃の当時の状況から振り返って見ましょう。
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戦後高度成長した日本は、安い労力を求めて海外進出を始めました。

最初は、労働集約産業に代表される繊維産業から始まり、次に裾野産業の代表である自動車関連産業が進出して行きます。

そうして、日系企業の大量進出により、日本製品が氾濫し貿易不均衡が生じてきます。

このため、経済侵略、経済支配反対の旗を掲げる学生の抗議行動に出会う事になります。

田中首相のタイ訪問に遡ること2年前、日本とタイの関係に於いて最大の険悪状態になったのが、1972年頃から発生した野口キックボクシング事件や、反日不買運動でしょう。

この事態が発生した時、西野さんは55歳で2年前からタイトーメンの支店長のポジションで、3年前から日本人会長を務めており、更にJCC（バンコク日本人商工会議所）理事を務めており、これらの立場から日本とタイの友好のため奮闘しました。
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以上の事について、さらに具体的に説明して行きます。

折しも、田中首相のタイ訪問に際し抗議デモに巻き込まれてクライマックスに至りますが、

この出来事は次回紹介します。

このような緊迫した状態の時、西野さんは大使館よりたびたび呼ばれて意見を求められていました。

大使館としては、経験豊かでタイ事情に詳しい西野さんにすがるような思いで情報収集し、判断したと想像します。

特に、田中首相のタイ訪問前に問題解決をするよう本省（東京）からの指示もあり、大使館への要請は切実でした。

その対策として、急遽田中首相タイ訪問前2カ月1973年11月4日に日タイ貿易会議を開催してタイ側との協議を進め、状況を収拾しようとしました。この会議で、西野さんは議長を務めています。（写真あり）

その場での発言内容は、「日本人会百年史」の中で示されており、後で詳しく紹介します。