探偵

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探偵物語 こんな依頼がありました 「失踪人」パート⑫

   (前号からの続き) その男は埼玉県某市に住んでいた。熊谷市に近い。つまり、私の住まいからは非常に遠い…。やむなく、当時のスタッフにその男の家を監視させた。 1日か、2日か張込みさせたが、残念ながら姿を捉える事はできなかった。無論、彼女の姿もない。近所に彼の風評を取材させたが、大した話は聞けなかった。聞けなかった…というより、そのスタッフが内偵が苦手な調査員だったので仕方のない事で…。 正直、私自身は彼が彼女を匿っているなどという話は最初から信じていなかった。それでも依頼者の指示だから、やらないわけにはいかない。とはいうものの、何も収穫がありませんでした、は通用しない。 私は彼の自宅に電話をかけて、直調する事にした。直調にも種類がある。 本人に探偵である事を告げず、何か別の口実をつけて極秘裏に取材する方法と、探偵である事や調査目的を告げて取材する方法など…。 私は後者をとった。何故なら、彼が彼女を匿っているという事は、まず無いと踏んだからだ。とはいっても、彼が電話に出る事はないかも知れないとも思った。 そうはならなかった。 彼は意外にあっさりと電話口に出たからだ。...
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探偵物語 こんな依頼がありました 「失踪人」パート⑪

  (前号からの続き) 私のアイパッドにこの案件のレポートが残されている。 よくは憶えていないのだが、レポートを見ていると警察に訴えかけるような書き方をしているようにも思える。 いま読んでみて致命的なのは公平さに欠ける内容であるという事だ。どうやっても自殺ではないのでは…という記録の仕方だ。それでも、依頼者家族のおかげで目先の方向は変えられていった。 俳優の◯◯氏はドラマなどで観る事がある。その◯◯氏が、『姐さん』と呼んだという失踪人。何とかその事実を確認できないだろうかと考えていた。 私たちは警察署の帰りにお弁当屋に寄って、私は依頼者が御馳走してくれるというのを断り、そのまま一緒に依頼者宅に戻った。 依頼者家族がお弁当を食べている間、リビングのソファに腰掛けて考えていたが、実はアテがないわけでもなかった。私の知り合いに女優さんがいる。その女優さんが以前、◯◯氏と共演していた事を知っていたからだ。 とはいえ、こんな事をお願いできるだろうか? 「◯◯さんに、◯◯連合の会合に出ましたか?」って? 仮に◯◯氏が「ええ、出ましたよ。」と言ったとして、「その時、◯◯さんという女...
2019.09.26
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探偵物語 こんな依頼がありました 「失踪人」パート⑩

  (前号からの続き) さて、ここで疑問なのだが、彼女は時間を気にしていた。◯◯市に向かうのに、特急電車に乗るためか、その時間を気にしていたとも考えられるが、その◯◯市は確かに地方の観光地なのだが、比較的、頻繁に電車は出てるし、特急に乗らなくても、そんなに時間がかかるようなところでもない。 自殺をするために覚悟の家出だとしても、そんなに急いで行く必要があっただろうか? それから、覚悟の失踪に特急電車の切符を予め購入していたのだろうか? この時点で、失踪するつもりであったとしても、自殺をするには冷静過ぎはしないだろうか? 何か思いつめて、覚悟の失踪を計画してたとして…私が家族の聴き取りをした記録には、その前兆さえ窺えない。 とはいえ、本人の心の中は本人にしかわからないから、こればかりは聴き取りの内容で安易に判断する事は難しい。 『…行ってみなければわからないわよ!』という彼女の捨て台詞とも取れるセリフ…。これは、何を意味しているのだろう? 帰って来れれば、帰ってくるつもりであったのか… ただ、ただならぬ状況があって、帰って来たくても、帰って来れない可能性があった何かがあ...
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探偵物語 こんな依頼がありました 「失踪人」パート⑨

  (前号からの続き) 「はあ…」 「普通は、最初殆どが失踪したとおっしゃって警察に来られる。けれど、そこには殆どご家庭や学校や…そういった悩みなどの問題から失踪される。まぁ、これは失踪ではなくて家出なのですね。けれど遺書があったとか、誘拐犯から連絡があったなどとなると、これは事件です。要するに刑事事件ですね。ここで初めて警察は捜査に乗り出す。」 「つまり?」私はさらに尋ねた。 「つまり、」担当官は言う。 「今回のケース。事件性が認められない。そうすると警察は家出人の届出を受理して、あとは警察活動しかできないのですよ。」 「警察活動ってのは、何なんです?」 「警察活動というのは、通報があったら駆け付ける。警ら中に不審人物がいたら職質をする。これが警察活動です。」 「つまり、こういう事ですか?」私は言った。 「事件性がない限り…いや、無いかどうかを警察の判断で決めて、ないとすれば、あとは自分から出てくるか、パトロール中に職質して、その人がたまたま捜索願が出ている人だったらばラッキーみたいな?」 「ラッキー…と言われると…。」 「だってそうですよね。じゃあ、遺体...
2019.08.31
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探偵物語 こんな依頼がありました 「失踪人」パート⑧

   (前号からの続き) 「あ。どうも◯◯です。」 担当課の前の廊下にさしかかった時、依頼者が担当官らしき私服警察官に声をかけた。 担当官は急いで通り過ぎるところだったが、声をかけた依頼者に気づいて立ち止まった。 「ああ、どうも。」 「その後の事なんですがね。」 依頼者は担当官に言った。 「あれからどうなったかと思って、今一度相談に来たんですがね。」 すると担当官が、廊下の隅に置いてある椅子を指差して言った。 「まぁ、話を聞きましょう。」 「ここで?」私は強い口調で言った。 「いくらなんでも、ここで立ち話はないでしょう?」 「え?ああ、そうですね…では1階の部屋で…」 担当官は少し気まずそうに廊下を先頭に立って歩き、私たちを案内した。 ふと、依頼者の顔を見て驚いた。 顔を紅潮させている。明らかに怒っているのだ。 「失礼ですよね。」 私は担当官の無礼に怒って当然だと言わんばかりに言った。 が、依頼者は担当官には怒っていなかった。 「担当官を怒らせないで下さいよ!」 「え?」 「...
2019.08.26
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探偵物語 こんな依頼がありました 「失踪人」パート⑦

    (前号からの続き) 「なるほど…」H氏は言った。 「所持品を殆ど持って行っていないという事もあるし、尋常な状況ではないですものね。そろそろ良い頃合いかも知れませんね。」 私たちは翌日、◯◯市を後にした。この時の唯一の希望は、奥さんが所持品を持たずに失踪してから2週間以上…警察に捜索願を出してから2週間以上…。警察を動かせるかも知れないという事だけだった。 ところがこの後、この「捜索願」が如何に無力であるかという事を思い知らされるとは想像もしていなかった。 今…アイパッドのオフィス・ワードに残された記録を見て書いている。彼女の1ヵ月を聴き取りして記録したものだ。それを見ながら思い出している。 1日、1日をご家族、おばあちゃん、夫、本人の実次女。彼らに可能な限り思い出してもらって聴き取っていった。聴き取れば聴き取るほどに不思議に思った事を思い出す。 この記録の中には、◯◯市に行く前に聴き取った内容も入力し、その間、間に新しく聴き取った内容を埋めていく。 彼女のパート先の社長の、『あの会話』も入力して埋めていった。 ただし、あの内容は社長の...
2019.08.03
法律相談

探偵物語 こんな依頼がありました 「失踪人」パート⑥

   (前号からの続き) 「奥さん、生きてるかな…。」私は呟いた。 失踪して2週間以上。なにしろ、免許証、保険証、クレジットカード、銀キャッシュカード等…全て置いて行っているのだ…。現金だって、依頼者である夫の話じゃ、持っているかも分からない。 自分が、奥さんの立場になって考えてみよう。そう言えば、依頼者は奥さんが甲状腺を患っていたとも言っていた。保険証もなく、医者にだっていけないはずだ。いや、保険証がなくなたって、とりあえず医者には行ける。行けるけど、現金を持っていなければ、それも叶わない。 これには誰かが絡んでいるのか…。奥さんの会社の社長が言っていた事も気になる。男絡みなのか…。 だとすれば、その男が金を持っていれば何をするにも当面は困らないだろう。けど、そうだとしても、そうする意味がわからない。お金は持って行ってもよかろう…。 こんな事をH氏に話ながら、自分にも確認するように呟いていた。 「そろそろ出ますか。」 「え?」 「店を…。」 H氏に言われて気がつけば、さっきまで賑わっていた店も、客は私とH氏だけになっていた。 「いつの間に…。」私は言って「そう...
2019.07.13
法律相談

探偵物語 こんな依頼がありました 「失踪人」パート⑤

  (前号からの続き) その日は現地に宿泊する事にした。 安ホテルを予約してチェックイン。そういえば食事もまだだったので、夕飯をとりながら打合せをしようという事になったのは20時頃になってからだ。 ホテルを出たものの、「さて…。」と飲食店を探した。辺りは真っ暗で、微かに遠くに灯りがポツポツと見える。 「この川沿いを行けば、何となく行けそうですね。」 私はH氏に言って、2人で歩きだした。 川沿いをゆっくりと歩く。右手側には川、左手側には山林。 山林とは言っても、どちらかといったら雑木林に近い感じで、山というほどでもない感じだが、何しろ辺りは真っ暗なので、どの程度の深さの雑木林だか検討もつかないので山にも見える。 「あれ?」途中で私はH氏に言った。 「これ、こちら側だと、どんどん街灯りから遠ざかっているみたい。少し戻って橋を渡らないと。」 「ほんとだ。そうですね…。」とH氏は言って、今度は右手側になる山林を見て呟いた。 「何か、夜の山って不気味ですね…。」 「うん。そうですね…。まさかとは思うけど、こんなところで自殺してたりして…。」 「近すぎません?街から。」...
2019.07.13
法律相談

探偵事務所にこんな依頼がありました 「失踪人」パート②

タイのバンコクで21年間、フリーペーパーを発行するタイ自由ランドが、探偵事務所にこんな依頼がありました 「失踪人」パート②についての記事を紹介しています。
2019.05.23
法律相談

探偵事務所にこんな依頼がありました 「失踪人」パート①

タイのバンコクで21年間、フリーペーパーを発行するタイ自由ランドが、探偵事務所にこんな依頼がありました「失踪人」パート①の記事を紹介しています。
2019.05.14
法律

よい探偵の選び方は、法律事務所に紹介してもらう

皆さんが万が一、探偵に依頼しようと思ったらどうしますか? 例えば、自身のパートナーである奥さんやご主人の浮気調査をしたいと思った時。インターネットで「探偵」について検索すると思います。 そこで、必ず目につくのが「探偵の選び方」です。もっともらしく書かれていますがほとんどが探偵社が書いているものですね。という事は、自社に不利な事は書きません。 とは言っても、「じゃあ、どうやって良い探偵を選べば良いの?」という事になりますね。 今のところ、「これ」という方法はありません。どこに頼んだって同じですが、どうせなら安いところの方が良いですね。 私がよく言っているのは、このような業界にあって、それでも一番確かな選び方は、第三者の目線で選ぶ事で、実際に利用した事のある友人、知人がいれば、メリットもデメリットも知っていますから確かです。 でも、そういう人は周りにいない、という方が大半でしょう。 その場合は、法律事務所に紹介をもらう事です。ここで間違ってはいけないのが、探偵社のホームページでコメントなどを載せている弁護士からはダメです。 ...
2018.07.06
法律相談

68才からの起業その36、所得税返却申請手順の紹介

  機会があって所得税(関税も同様)の返却申請を経験しました。この分野では、誰でも時間が長くかかり不満を持っています。 そこで、還付請求の役所内部の手順を紹介します。   ①受付 ②審査で申請内容の判断をします。 ③調査後に書類が回り企業へ立ち入り調査します。この部門で一番時間がかかります。 ④還付部でその調査結果内容をチェックします。 ⑤還付部の許可を受けた後、タイの中央銀行に対して還付許可申請を行います。 ⑥中央銀行の許可後、国税局の還付管理センターに書類が回ります。 ⑦国税局の還付処理センタへ書類が回るとここで、返却書類を作成して、小切手が作成されます。 ⑧申請者に郵送される、という流れです。 以上の流れなので半年以上、おおむね1年位時間がかかるでしょう。どんなに急がせても、ステップがあるのでスピードアップできません。改善策として、中央銀行への許可は不要と思います。しかし、これも役所内での利権なので絶対手放さないでしょう。 法律やビジネスの相談は、下の広告を参照で。   2017年12月20日 タイ自由ランド掲載 ->タイ法律ビジネス...
2018.01.05
法律相談

「タイ在住支援法律事務所」の民事トラブル、紛争解決

  「タイ在住支援法律事務所」は、タイに在住する日本人やタイで起こった問題を抱えている方の悩み事やトラブルについての良き相談相手となり、解決をはかる、いわば「タイの法律駆け込み寺」を目指しています。 離婚や相続といった家族間の問題から、金銭詐欺や交通事故など生活の中で降りかかる問題、中小企業・上場企業・医療法人等の法人並びに個人の法律顧問まで、あらゆる問題に対応することができます。また、登記手続の専門家や、社会保険労務、高度の専門知識を備えた事務局員が、各タイ人弁護士の補佐として活躍しています。 弊所の弁護士たちの豊富な経験の蓄積と所員の豊かな個性とチームワークを活かして、タイに在住する日本人の皆さまの暮らしと権利を守るために日々奮闘しています。事件の種類を問わず、タイに暮らす日本人の方々の多種多様な法的ニーズに臨機応変、柔軟かつ迅速にお応えし、親身なサポートを心がけ、対応させていただきます。 【タイ在住支援法律事務所の主な法律相談・問題解決事例】 民事トラブル・民事事件・紛争解決 ・第三者との間の紛争・トラブル解決や訴訟・裁判業務 ・貸した金...
2017.12.15
トラブル解決

日本人駐在員40歳、男性A氏の憂鬱 ②

  「奥さん、携帯を隠してるんですか?」 「今思えば、そういう事なんでしょうが、普段は妻の携帯を気にはしていないから。」 「では、確証って?」 相談員が聞くと、A氏はぐっと前のめりに相談員に近寄って、「長男がね。」A氏は言いました。「見たって言うんですよ。」 「何を、ですか?」 A氏によれば、小学校に通う長男がたまたま早帰りの日に、度々自宅から出てくる男性を見たと言うのです。 「セールスとかではなく?」 「同じセールスマンが何度も来ます?」A氏は言って、「あり得ないでしょう?」と手に持っていた携帯をポンっとソファーに投げた。 「確かに。」と相談員。こういう展開をしていると、相談員が無能のように思われるかもしれませんが、意図的にボケているようにする事があります。これは依頼者から出来るだけ多くの事を思い出してもらい、話して頂くための手法です。 「特に妻はね…」A氏は再び話し始めました。「セールスマンなんか毛嫌いするタチで、私が知る限り、ぜったに相手にもしないし門前払いしますよ。それに…」 ...
法律相談

日本人駐在員40歳、男性A氏の憂鬱 ①

  A氏が、某日本企業のバンコク支社に駐在員として配属されたのは約10年前の事でした。丁度、バンコクに転勤が決まった頃、妻が妊娠していた事もあり、異国の地に泣く泣く単身で来る事になったそうです。その後、度々日本に帰る事もあり、愛しい我が子の成長も見る事ができ、幸せな生活が続いたと言います。 ところが最近になり、妻の様子に異変を感じ始めました。その年の年末は忙しく日本に帰れなかったそうですが、流石に年が明けた1月6日に一時帰国できました。A氏は何よりも久々に小学校5年生になった長男と対面した事が嬉しかったと言います。ところが、5つ年下の妻の態度が、何となくよそよそしく感じられました。最初は気のせいか、たまたま機嫌が悪いくらいにしか思わなかったそうです。 そのうちに、A氏が再びバンコクに戻らなければならない日が近づいてきます。バンコクに戻れば、いつまた戻れるかわからない。そう思ったA氏は長男が学校にいっている時間に、夫婦二人きりで映画デートにでも行こうと考え、妻を誘ったそうです。しかし意外にも妻は乗り気ではなく、突然、これから学生時代の友人と食事の約束があるからと...
2017.06.23