翻訳したトムヤンティ女史の 「メナムの残照」 最終回、西野順治郎列伝 ⑨

中央が「メナムの残照」著者・トムヤンテイ女史右は大阪外国語大学卒、柘植隆治氏、左は著者・小林豊
中央が「メナムの残照」著者・トムヤンテイ女史右は大阪外国語大学卒、柘植隆治氏、左は著者・小林豊

「クーカム」のあらすじ

メナムの残照は、タイ語のタイトルでは「クーカム」。ざっくりあらすじを説明しますと、小説の舞台は第2次世界大戦中、タイに派遣された日本兵の小堀とタイ人女性のアンスマリン(ひでこと呼ばれる)が主人公(ヒロイン)となっています。

二人は恋に落ちるも、政略結婚とひでこの彼氏が出現して三角関係を繰り広げ、自分の本当の気持ちに気づいたひでこは、彼氏に別れを告げ、完全に元カレから解放されて小堀だけを愛そうとした時、空襲で死別するという悲劇のストーリーです。

ウィモン(トムヤンティ)女史へのインタビュー

この本を書かれたのは、ウィモン女史(ペンネーム:トムヤンティ)。彼女はこのクーカム以外にも様々な小説を書いたタイの著名作家。

「西野さんが翻訳されているので、その経緯について話を聞きたい」とお願いして、「西野さんが大好きだから」とのことで承諾を得て、貴重なお時間をいただきインタビューに至りました。

そのインタビューで話されていたこと、そして小生が生前、西野さんから聞いた話を基に、西野さんのことについても触れながら、この小説の内容、そして同女史の思いを書き綴っていきたいと思います。

二人の出会い交流

この本を西野さんが具体的にいつ翻訳したか、この答えについては今のところ不確実です。

翻訳することになった経緯は、当時、西野さんの秘書がクーカムの作品が大好きで、ウィモン女史に連絡したことがきっかけだったそうです。(以下、女史と略称します。)

最初、西野さんが女史のバンコクの邸宅を訪問し、その後、西野さんは車を出して女史を自宅に招いたりして親交を深めたとのこと。

当時は日本のお菓子がとても珍しいこともあり、西野さんはお茶が大好きな女史に必ず日本のお菓子を手土産として持って行かれました。

日本出張から戻られた際には、自分の時間がなければ人を使ってお菓子を送ったりしていて、女史はその気遣いに心を打たれたそうです。

また、本が売れた際には、「たくさん売れた」と代金を渡してくれたとのこと。

それでとても正直で誠実な人だ、と思ったそうです。

日本語訳の完了まで

タイ語小説の出版から日本語訳が完了するまで何年も時間が経過したのは、西野さんが仕事の合間を見て、自身でタイ語版小説を読み、わからない所があれば女史や秘書から説明を受けたためです。

丁寧にきれいな表現で翻訳され、ようやく「メナムの残照」の翻訳本が完成しました。

(次号へ続く)

著者紹介: 小林 豊

2020年12月5日 タイ自由ランド掲載

 

 

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