T.W.Y. バンコク都市開発研究所 近未来予測2040年の世界 実現するであろうこと
世界人口は2064年をピークに減少
国連人口基金によると、世界の総人口が推計で80億人を突破したと公表(2022/11/15)。2011年に70億人を超えてから、11年間で10億人増えた。国連は急激な人口増加が社会経済発展の負担になっているとして、各国に警鐘を鳴らしてる(JIJI.com2022/11/15)。 一方、「人類は今世紀中に減り始め、もう増えることはない。」と人口学者は予測している(日経2023/6/28)。国連はもともと、2100年まで人口は増え続けるという推計を出していた(2019/7)。 しかし、国連の予測は出生率低下をきちんと織り込んでいないのではないかという批判があり、米ワシントン大の研究者が2064年の97億人をピークに減少するという推計を2020年7月に公表した(図表1)。2040年には89億人前後となっているであろう。
時速1,000km超のハイパールーブ リニアの2倍速
IEEE(米国電気電子学会・IT技術者による世界最大級の団体)によると、2040年までには自動運転車が自動車の主流となるという。自動車以外の交通では、リニア中央新幹線が2040年には稼働し、東京大阪間を67分で移動可能となるという。 さらに、次世代交通機関といえば、真空にしたチューブの中をカプセル状の車両が浮遊しながら移動していくハイパールーブである。その速度は時速1,000km超えと、音速旅客機並みで移動することができる。リニア中央新幹線の最高速度は500kmということだから、実にその2倍以上になる。リニア中央新幹線の場合、東京・品川―名古屋間を最短40分で結ぶというが、ハイパールーブであれば、最短20分弱で移動可能となる。
現実と見分けがつかなくなるVR
エンターテイメントでは、Virtual Reality(VR・仮想現実)であろう。2040年には、現在4K(8MP)の解像度が、なんと150倍(120MP)超の高度なレベルまで達するという(図表3)。ここまで高度に発達したVR世界では、SF映画「マトリックス」のように視覚の上で現実と仮想の区別がつかなくなる。なお、2040年以降の目標は、他の感覚においても現実と仮想の見分けがつかないような「完全没入型」VRを実現することであろう。これはまるで世界的に大ヒットしした「アバター」の世界といえよう。
肉の60%が人工肉になるのか?
農業分野では、スマート農業の技術が進んで、2040年には、農業の完全な自動化が達成できると予測されている。しかし、世界規模での人口増や気候変動がこのまま進めば、食料不足がやってくる。 このような中で、食肉は消費量が増えても供給量を増やせず、需給の逼迫が予測される。そこで注目されているのが「代替肉」や「培養肉」など、人工的につくった肉である(図表4)。元日本マイクロソフト社の成毛眞氏によると「2040年には世界の肉の60%が、動物本来の肉ではなく、培養肉や植物からつくられた人工肉に代わる」という(PRESIDENT Online2021/5/4)。
自然さえも人類はコントロールできるか?
台風の進路や勢力などの巨大な気象現象は、意外と小さな気流や水流などの違いによって大きく変化する可能性がある(バタフライ効果)。2040年には気象制御の技術も実用化され、痛ましい災害を引き起こす台風や豪雨を制御できるようになると予測されている(図表5)。 そのほか、遺伝子療法が進み治療困難だった病気も発病前に治療可能になるかもしれない。また、バイオセンサー技術の発達により病院に行かなくても、ネットワークを介してリアルタイムで健康状態を管理できるようになるかもしれない。わくわくドキドキ2040年の未来、幸せな時代になることを期待したい(図表6)。
T.W.Y.Co.,Ltd バンコク都市開発研究所 顧問 愛川裕二