【なつかしい記事】店主物語り ②「わんわんらんど」は犬のペットショップ
バンコクでは日本人を顧客とする日本人店主も今回の赤服の件で大打撃を受け、一時帰っていった日本人などが早くタイに戻ってくることを期待しています。本紙では広告を掲載している店主を盛り上げて、元気を取り戻してもらえるよう、ストーリー仕立ての店主物語を展開しております。今回はその第2回目。
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BTSのアソーク駅から歩いて5分ほど。脇道を入って並ぶタウンハウスの1つが今門の仕事場だ。「キャン、キャン」と甲高い犬の鳴き声が聞こえ、これは相当、となりに迷惑だろうと思う。この7月で、丸5年になる「わんわんらんど」は犬のペットショップ。タイ人スタッフはいるが、今門がひとりで切りまわしている店だ。
神戸で公務員をやっていた今門は、しばられないで自由に生きていきたいと20代後半でタイに移り住む。タイ語学校にしばらく通って、日系の会社に就職。そのころから犬を飼っていて、トリミングやペットホテルで店を利用していた。しかし、ある時、ダニがついて帰ってきたこともあり、日本人経営のペットショップというのはどうだろう、と考えるようになった。そして会社設立の準備を始め、同時にタイでトリマーなどの学校にも通い、タイでペットショップを経営する下地を着々とつくっていった。
34歳で起業。プラカノーンのジャスコの駐車場の一角に店を出した。場所が場所だけに、タイ人の客の方が多かった。それはそれでよかったが、カットだけの客やシャンプーだけの客など、タイ人はペット用品や商品を買ってくれることも少なかった。日本人向けにと、場所を今のアソークのソイ19に目星を付け、タウンハウスを1棟借りした。最初は2店を切り回していたが、自分の目の届くところでと、アソークにしぼることにした。
徐々に日本人の固定客がつくようになり、今では日本人客70%、欧米、タイ人が30%。女性を中心に家族、あるいは男性客もおり、チワワやプードルを持ち込む人が多い。
コツコツとマイペースをつらぬいて5年。本当に地道に、ということばが今門には合う。「ぜんぜん、もうからないです。自分の生活を維持できている感じ」というが、ワンちゃんが好きだから続けられる仕事。
5年間のあいだ、日本に帰ったのは、実家がある兵庫の赤穂に帰った1度だけ。朝8時から夜7時ごろまで店の管理をし、金曜日は自分の休みを入れているが、それでも気になって店に顔を出すこともしばしば。
「ペットホテルをやっているので、何かあるのが心配」というのが休暇を取れない理由だ。おかげでこの5年間、タイ国内で遠出をしたのはパタヤくらい。チェンマイにもプーケットにも行っていない。
ソンクラーンや正月の時期にはいっぱいになるというペットの預かり。1泊は200バーツからで、その広さなどによって値段が変わってくる。また預かって、シャンプーとトリミングを合わせてやると400バーツ。単価は結構、安くて、細かい仕事だ。
「結構しんどいですね」と苦笑いするが、「好きなことをやっているので、気分的には違います」と、自分のやりたいことをやっている喜びがあり、たとえもうけがなくても今門にとっては幸せなのだろう。駐在員の家族の帰国や、日本での待機、単身者への切り換えなど、逆風は吹いている。大ざっぱに言えば、スクムビット界隈の日本人社会が対象で、その中でも犬を飼っている家庭や単身者というのは本当に限られているだろう。その中でのビジネスだから、こういった赤服の占拠などということで日本人主婦が帰ってしまうと、大変な打撃を受けるのは明らかだ。それでもちゃんと店を維持できるのだから、きっとこれからまた駐在員やその主婦がタイにやって来れば、事業は上向くだろう。
一時期、トンロー界隈などでよくペットショップやペットクリニックの店を見かけるようになった。しかし、今は以前のようには増えていない。「経営者が代わったりして営業しているところはありますが、難しいのではないでしょうか」といい、日本人が経営しているペットショップとしての誇りも持つ。「よくペットショップに入ると、ニオイなどがしたりしますが、そういった衛生面には特に気をつけています」という。日本人クオリティーに応えられるサービスを維持しているのが今門の強みだ。
タイでペット人生を歩んで5年。今門はこれからもマイペースでその道を歩んでいくに違いない。(敬称略)
2010年6月20日 タイ自由ランド掲載
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店主物語り②
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