あぱまん情報2022年1月5日掲載 T.W.Y. バンコク都市開発研究所 平均寿命 人生100年時代来たる! 世界の認知症患者 2050年には1億5,200万人
世界一の長寿国日本 平均寿命84.3歳
日本人の平均寿命が50歳の壁を初めて超えたのは、戦後すぐ1947年のことだ。それから70年あまりで、平均寿命は30歳以上伸びた。WHO2021年版の世界保健統計(2019年DATA)によると、日本は男女平均寿命84.3歳で世界一の長寿国となった(図表1)。2位はスイス83.4歳、3位韓国83.3歳、タイは47位77.7歳であった。2020年の日本人の平均寿命は、女性87.74歳、男性81.64歳、ともに過去最高を更新した。「平成30年簡易生命表」によれば、この年に生まれた人が「90歳」迄生きる確率は、女性50.5%、男性26.5%、つまり女性なら半分、男性でも4人に一人は90歳迄生きる確率となる。
2030年平均寿命90歳を超える
2015年1月放送のNHKスペシャル「NEXT WORLD わたしたちの未来」で、2045年には平均寿命が100歳に到達すると、世界の多くの研究者が予測していると紹介していた。それが現実のものに近づきつつあるようだ。 医療の発達、栄養状態や衛生環境の改善などにより、人生100年時代は夢ではなくなってきた。ただ、平均寿命はいわゆる「寝たきり」や「認知症」といった介護を要する期間も含むもの(図表3)。 単に長生きするのではなく、「健康」で長く生きていく必要があろう。
世界の認知症患者は2050年1億5,200万人
人生100年時代となりつつあるが、一方で、高齢者の認知症(注01)の増加が問題化している。2020年の日本の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%約602万人となっており、6人に一人が認知症有病者である。そのうち、アルツハイマー型認知症(以下、「アルツハイマー」という。)は、最も多く60~70%を占める。 アルツハイマー病協会国際会議(2021/7/28)の報告では、2050年までに世界の認知症患者数は、ほぼ3倍の1億5,200万人以上になるとの推計値が発表されている。
20年ぶりにアルツハイマーの新薬承認!
アルツハイマーは、治らない病気として知られているが、この病気を治す薬として、2021年6月FDA(米国食品医薬品局)に承認された。この薬はバイオジェン(米国)とエーザイ㈱(日本)が共同開発した「アデュカヌマブ」で、アルツハイマーの新薬承認は20年ぶりだという。日本でも2020年12月に厚生労働省に承認申請が済んでおり、いつ承認されるか、注目が集まっている。 また、2021年12月に米国クリーブランド・クリニック・ゲノム医学研究所が、国際学術誌「ネイチャー・エイジング」で、「大規模な人体情報と診療記録の分析を通し、勃起不全治療薬の「バイアグラ」の『シルデナフィル』成分(注02)がアルツハイマーの治療剤として使えることを確認した。」と発表した。 これは、人体を対象とした臨床試験の結果ではなく、遺伝子、タンパク質情報に基づいてコンピュータ上で仮想実験を行った結果ではあるが、今後、後続の臨床試験においてバイアグラのアルツハイマー予防効果が立証されれば、全世界の人々の未来において新たな希望になるものと期待されている。
認知症は早めの発見、治療が大事
日本人の平均寿命は延び、男女とも80歳を超えた。歳をとれば、体も脳も歳をとる。体の老化は目に見えてわかりやすいが、脳の老化は見えないためわかりにくく受け入れがたいもの。万が一認知症になったとしても、できるだけ早い段階で発見し、正しい診断、適切な治療を受け病気の進行を抑えることが望ましい。 既に、アルツハイマーを抑制する効果がある治療薬として4つの薬が認可されている。図表4は、単なる老化と認知症であるアルツハイマーを比較したものである。もし、アルツハイマーに当てはまるところがあれば直ぐに受診されることをお勧めする。