あぱまん情報2022年6月5日掲載 T.W.Y. バンコク都市開発研究所 EV 急激に伸びる電気自動車(EV)市場 水素エンジンも真っ盛り⁉
2020年世界の自動車販売台数はトヨタが首位
2020年の世界の自動車販売台数は7,797万台と、コロナウイルスの世界的な感染拡大により、前年比13.8%の大幅減少となった。ここ数年、中国が世界の自動車市場を牽引していたが、2017年をピークに鈍化の兆しを見せている。また、先進国市場は成熟期に突入した可能性がみられる。 2020年の世界自動車販売台数ランキングでは、昨年2位だったトヨタが952万台と首位となる。4年連続首位だったフォルクスワーゲンは930万台で2位、3位がルノー・日産・三菱アライアンスで779万台となっている。
2020年世界電気自動車販売台数1位はTesla
地球温暖化の主な原因である二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制する「脱炭素社会」を目指す動きから、エコカー(EcoloCar)が注目されている(図表2)。欧州では、2030年にはガソリン・ディーゼル車の割合半分以下を目指しており、メーカー各社は特にEVへのシフトを進めている。 2020年のEVメーカーの売上高は315億3,600万ドル(約3兆3,272億円)で2020年のメーカー別販売台数は、Teslaが50万台と2位以下を大きく引き離しトップを維持した(図表3)。2位にはVW(Volkswagen)の21万台、3位は17万台のBYD(中国)が続く。2019年にはトップ20にもランクインしていなかったMercedes、Audiなどの欧州メーカーが新たにランクイン。また、VWやBMWなど元々ランクインしていた欧州ブランドも順調に販売台数を伸ばすなど、欧州メーカーの台頭が目立った。一方、日産自動車、中国の上海汽車集団(SAIC)、韓国の現代自動車といったアジア勢が軒並みシェアを落とす結果となった。
タイ政府EV奨励策決定 タイのEV革命加速
IEA(国際エネルギー機関)のStated Policiesシナリオでは、全モード(除二輪車三輪車)のEV在庫は、2030年に1億4,500万台(全車両の7%)から最大2億3,000万台(同12%)に達すると予想している。日本も2030年代半ばまでに乗用車新車販売でEV100%とする目標を掲げている。 このような中、タイ政府は、2022年2月15日、電気自動車(EV)の購入支援策の大枠を閣議決定した。補助金の交付と輸入関税、物品税の減免で価格を引き下げ、EV普及を図るとともに、メーカーに国内生産を促すねらいだ(図4)。乗用車とピックアップトラック、バイクが対象になるが、これにより、自由貿易協定(FTV)で関税が引き下げられている日本製(税率20%)や韓国製(同40%)の乗用車は関税免除が可能となり、既に免除されている中国製と同一条件にできるようになる。
EV重視の欧州、水素エンジン真っ盛り⁉
欧州自動車関連メーカーが水素エンジンの開発にこぞって力を注ぎ始めた。日本ではトヨタ自動車が方針転換し、水素エンジン開発にかじを取る。 2021年4月末に開催されたパワートレーン国際会議で、ドイツのDaimlerやBoschなどの大手メーカーに加えて、欧州の技術戦略に影響のある大手エンジニアリング会社のオーストラリアAVLやドイツFEV、同IAVなどが最新の水素エンジン技術を披露した。そのなかでIAVは、EVとディーゼルエンジン、水素エンジン、燃料電池車(FCEV)の4種類のパワートレーンを比較し、30年想定のドイツの電力構成において、水素エンジンが脱炭素に向けた有力な選択肢になると試算している(日経BP2021/6/9)。 欧州で水素エンジンの開発が盛り上がる理由は、EVだけではカーボンニュートラル(炭素中立)の達成は困難との考えが醸成されていることが大きい。小型車ではEVが向いているが、中大型車や商用車などのカーボンニュートラル化を推し進めるには水素が有効とみている。 今後どうなっていくのか見守っていきたい。