【なつかしい記事】ソンクラーの町で「コボリ」生活
日本で退職して年金をもらう段階でタイに移り住む日本人も多く、それらの人を一般的に「タイでロングステイをする人」と呼んでいるが、タイで暮らすメリットとしては、日本で暮らすよりも生活費がかからない、という点にあり、少ない年金の範囲内でも十分に暮らしていけるのがよいところだ。
そんな考えを持った、佐藤さん(仮名)は、バンコクではなく南部のソンクラーを年金生活のすみかとして3年。1人ぼっちの生活を送っている。それでも、日に焼けて白い眼鏡をかけた姿は若々しく、50歳前半かあるいは40歳代にも見える。実際には年金をもらって1年の61歳だ。
ソンクラーというのは、日本人にとってはまったくなじみがないかも知れないが、ハジャイの街からバスで30分ほどの海沿いの地域。以前は外国人旅行者もいない静かな町だったが、今は大学が誘致され、外国人教師や石油関連の欧米人も多く住むという。
タイの大学生も多く、海から近い場所ではアパートの建設ラッシュとか。
家賃も結構高く、4000~6000バーツが一般的。そこに大学生らは2人、3人と共同で住む。
紳士風に見える佐藤さんだから「女子学生にもてるんじゃないですか」ときくと、「そうなんですけどね」とうらやましい答え。寄ってくる子は、日本語を習いたい子が多く、町の中では「コボリ」で通る、唯一の日本人である。
朝起きてアパートから5分ほどの浜辺をジョギング、そのあとに、朝食はパン、トースト。ようやくインターネットを入れ、ソンクラーに移り住む目的だった読書をたっぷり。
昼食はタイの安飯屋で25バーツ。夕方は市場を歩き、「コボリ」と呼ばれながら生野菜などを買い、それを持ち帰って蒸したりして食べる。ビールは1日1缶350㎖。
家賃は1ヵ月3000バーツで電気代など1000バーツが別途。食事代込みで1カ月の出費は15000バーツほど。60歳からもらっている年金は30%減額されているが十分にその範囲内で暮らしていける。
もともと、静かに読書をしたいということで移り住んだソンクラー。大量の本を日本から送っているが、すでに生活して3年が経過、のち健康な状態ならずっと暮らしていきたいという。
やはり健康には注意を払っていて、食事は野菜中心。保険に入っていないので私立病院は行けない。このあいだも歯の治療で公立病院に行ったが、アナウンスで「ミスター佐藤」と呼ばれると皆、驚いたように、注目されて、外国人が公立病院に行くのはめずらしいということのようだ。
もし、ソンクラーに行く機会のある人は、町の市場に寄って「コボリはまだいますか」、と聞いてみて下さい。 (M)
2013年12月5日 タイ自由ランド掲載