チェンライで起業し、アカ族の森でコーヒー農園経営
チェンライを拠点に、タイ最北部の大自然の中で育んだ、コーヒーや日本米をはじめとした食品を販売しているオリエンタルファズ。
代表の今中健太郎さん(41歳)は、2009年よりチェンライに移り住み、現在の事業をスタートしました。
今中さんとタイとの縁は、以前勤務していた会社のタイ現地法人立ち上げのために、2004年にバンコクに駐在したのが始まりで、旅行でタイ北部を訪れた際、その雰囲気がとても気に入り、いつかチェンライで独立し事業をしたいと思うようになったと言います。
今中さんは元々コーヒー好きで、当時タイでは、なかなか美味しいコーヒーが飲めなかったこともあり、事業はコーヒーからスタートしたいと考えていたそうです。そんな時、アカ族の村との出会いがあり、それ以来、その村の人達にコーヒーを生産して貰いながら事業を進めてこられました。
そのコーヒー農園のあるアカ族の村は、山深いミャンマー国境近くにあり、ちょうど今の季節、1月から3月頃までが、コーヒーの収穫時期で、村総出で収穫を行っています。
この地域は以前はアヘンを作るためのケシの栽培で有名な、いわゆるゴールデン・トライアングルと呼ばれていた所で、今ではこの村のほぼ全員がコーヒーの生産に関わっています。それはコーヒーからの収入が良いということだけではなく、山岳民族である彼らにとって、森は命そのもので、コーヒーの木の栽培はその森と共存させる事もできるからです。
「これは森、村人、そして消費者にとっての理想的な環境と信じています」と話す今中さん。
アカ族の人たちは、真面目、律儀で、どちらかというと一般のタイ人より日本人に近いという印象で、日本と似たような習慣もあるそうです。
仕事はとても丁寧ですが、村人は規格というものに対する概念が薄く、その意識を高めていくことは、課題のひとつと言います。
基本の焙煎度合いはライト、ミディアム、ダークで、挽き具合は粗挽きから極細挽きまで、注文ごとに焙煎、袋詰めしています。
事業開始当時は、焙煎度合を安定させるのに苦労したそうです。一番最初は麓の焙煎所に委託していましたが、その後、農園に設置したタイ製の熱風式の焙煎釡で焙煎するものの、過加熱になりやすく焙煎度合いの調整は大変でした。
またチェンライ市内のオフィスから、山の上にある農園まで片道1時間半ぐらいかけ毎週数回往復していましたが、天候が悪い日などは木が倒れて道がふさがれて帰れなくなったり、ぬかるみで車がスリップしたりして、危険なこともあったそうです。
今は日本から持ち込んだ小型の直火式焙煎機で、チェンライ市内の作業所で焙煎ができるようになっています。焙煎をコントロールしやすくなり、それまで以上に注文に応じて焙煎し、袋詰め出来るようになりました。
森と共生するオリエンタルファズのコーヒー農園の形は、今中さんにとって昔から変わらぬ理想で、持続可能な形といいます。
将来はこのような形での農園をコーヒーだけでなく、他の作物にも広げていきたいと抱負を語りました。
先日、国民栄誉賞を受賞された羽生永世7冠や、これまでの最年少記録や連勝記録を破った藤井四段の活躍などもあり、将棋への関心が高まっています。
今中さんは、将棋はアマ4段の腕前で、日本将棋連盟で長い講師歴を持つ徳原千拓さん(元奨励会二段)と共にバンコクで将棋教室をスタートしました。
今中さんは、小学生の頃に祖父や父親に教えてもらい将棋を始めましたが、バンコクに来るまでは、たまに指すくらだったといいます。
バンコクに赴任してから、マレーシアのコタバルへの出張が何度もあり、そこは娯楽が少なく、日本人が経営しているレストランへよく行っていましたが、そこの日本人経営者が将棋の強豪で、コタバルへ行くたびに話を聞いたり、指してもらったりしているうちに、改めて将棋にのめり込んでいっ
たそうです。
それからは主にインターネット内の道場で鍛え、徐々に棋力が上がっていき、2015年に日本将
棋連盟より四段(アマチュア)を認定されました。
今中さんは、四段になった頃から、いつか将棋教室をやりたいと考えていたそうですが、そんな矢先、チェンライで学生をしている、徳原千拓さんと知り合いました。
この出会いを活かしたいと思い、やるなら今だということで、出会って1カ月も経たないうちに、
将棋教室をスタートしました。
しばらくは、月に1回か2回、バンコクで定期的に開催していく予定です。
初心者から段級位者まで、実力に合わせて、指導致します。子供教室は親子での参加も可能です
(親子でご参加の場合、お子様は5歳から)。
今現在ボイス・ホビークラブで開催しており、今後も継続していくつもりですが、もしここでもやって欲しいとか、ここでやったらどうですか、お手伝いしたい、などというのがあればぜひご連絡頂きたいとのことです。
将来的にはどこかを間借りして将棋教室もできるようなカフェが作れたらという今中さん。「タイからプロ棋士の誕生、それも一つの夢ですね」と話しました。
タイ将棋教室は1月のスケジュールもご参照ください。
2018年1月20日 タイ自由ランド掲載
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コメント一覧
森と共生するという山岳民族アカ族の考え方は、日本人も昔は普通にそういう発想を持っていたのではないでしょうか。アカ族の気質は日本人に似ているそうですが、雲南省あたりに同じルーツがあるのかもしれません。