【サムライ女子はつらいよバンコク】クリスマスSP タイのクリスマスの不憫かわいい笑えるエピソード
タイのクリスマスの不憫かわいい笑えるエピソード
プロローグ:聖なる夜に舞い降りた江戸っ子
賑やかなバンコクの街も、12月ともなればクリスマスムード一色に染まる。きらびやかなイルミネーション、サンタの帽子をかぶったトゥクトゥク、寺院に飾られた巨大なクリスマスツリー…仏教国タイでも、クリスマスは一大イベントなのだ。
そんな中、スクンビット通りにある瑠奈のアパートでは、一風変わったクリスマスパーティーの準備が進められていた。瑠奈は、頭の中の戦国武将・山田長政、そして昭和からタイムスリップしてきた江戸っ子・亀次郎と共に、テーブルセッティングや料理の準備に追われていた。
「瑠奈ちゃんよぉ、クリスマスってのは一体何なんだい?」
亀次郎は、赤いサンタ帽を被りながらも、首を傾げていた。
「クリスマスはね、キリストの誕生日をお祝いする日なの。家族や友達と集まって、プレゼント交換したり、美味しいものを食べたりするのよ」
瑠奈は、慣れた手つきでローストチキンをオーブンに入れた。
「へぇ~、キリストって人の誕生日かい?そりゃあ、めでてえこってすなぁ!」
亀次郎は、目を輝かせながら言った。
『瑠奈よ、キリスト教は西洋の宗教じゃ。わしらの時代には…』
頭の中の山田長政が、説明を始めようとした。
「もう、長政はいいから!今日はクリスマスなんだから、細かいことは気にしないで楽しもうよ!」
瑠奈は、長政の言葉を遮って、笑顔で言った。
第一幕:七面鳥 vs. すき焼き
テーブルの上には、色とりどりの料理が並んでいた。瑠奈特製のローストチキン、ソムが持ち寄ったトムヤムクン、そして、亀次郎がどうしても作りたがった「特製江戸前すき焼き」…
「おいおい、瑠奈ちゃん、クリスマスってのは、七面鳥を食う日じゃねえのかい?」
亀次郎は、鍋をつつきながら、不満げに言った。
「亀次郎さん、タイは七面鳥があまり一般的じゃないのよ。それに、クリスマスだからって、七面鳥を食べなきゃいけないってわけじゃないわ」
瑠奈は、笑顔で説明した。
「へぇ~、そうなのかい?でもよぉ、クリスマスに鍋ってのは、ちょっと風情がねえなぁ…」
亀次郎は、ぶつぶつと言いながら、すき焼きの肉を口に運んだ。
『瑠奈よ、亀次郎の言うことも一理ある。クリスマスには、特別な料理を…』
山田長政も、亀次郎に同調し始めた。
「もう、二人とも!せっかく美味しい料理が揃ってるんだから、文句言わないで食べようよ!」
瑠奈は、呆れ顔で言った。
第二幕:プレゼント交換で大混乱
食事が終わると、いよいよプレゼント交換の時間だ。瑠奈は、タワンに手編みのマフラーをプレゼントしようと、ドキドキしながら赤い包装紙の箱を握りしめていた。
「瑠奈ちゃん、これ、俺からのプレゼントだぜ!」
亀次郎は、大きな風呂敷包みを瑠奈に差し出した。
「わぁ、亀次郎さん、ありがとうございます!」
瑠奈は、嬉しそうに風呂敷包みを開けた。中には…
「え…? なんで…? ダシ昆布…?」
瑠奈は、目を丸くした。
「へへっ、瑠奈ちゃん、これさえあれば、どんな料理も美味しくなるってもんよ!」
亀次郎は、得意げに言った。
『瑠奈よ、亀次郎の気持ちは嬉しいが、プレゼントとしては…』
山田長政が、言葉を濁した。
「亀次郎さん、ありがとうございます… でも、私、昆布アレルギーなんです…」
瑠奈は、申し訳なさそうに言った。
「げぇっ…! な、なんだと…!? 昆布アレルギー…?」
亀次郎は、ショックで固まってしまった。
第三幕:サンタクロースは不憫かわいい?
プレゼント交換も終わり、パーティーも終盤に差し掛かった頃、ドアのチャイムが鳴った。
「はーい!」
瑠奈がドアを開けると…
「ホーホーホー!メリークリスマス!」
そこには、サンタクロースの格好をした…ソムが立っていた。
「ソム!?」
瑠奈は、驚きのあまり、言葉を失った。
「サプライズ! 瑠奈のために、サンタになってきたわよ!」
ソムは、満面の笑みで言った。しかし、よく見ると…
「ソム、そのヒゲ… ちょっとズレてるわよ…」
瑠奈は、苦笑しながら指摘した。
「え? マジ!? やばっ!」
ソムは、慌ててヒゲを直そうとした。しかし…
「あっ!」
ソムのヒゲが… 剥がれてしまった!
「あはははは!」
瑠奈と亀次郎は大爆笑した。
『瑠奈よ、ソムの気持ちは嬉しいが…』
山田長政も、思わず苦笑してしまった。
エピローグ:忘れられないタイのクリスマス
こうして、瑠奈、亀次郎、ソム、そして頭の中の山田長政による、ちょっと変わったタイのクリスマスパーティーは、幕を閉じた。
「来年は、もっと完璧なクリスマスパーティーを開こうね!」
ソムは、リベンジを誓った。
「ああ、そうだな! 来年は、七面鳥も用意するぜ!」
亀次郎も、やる気満々だ。
『瑠奈よ、来年は、わしもクリスマスについてもっと勉強しておこう…』
山田長政も、心の中で呟いた。
瑠奈は、笑顔で二人を見つめていた。
「うん! 来年も、みんなで一緒にクリスマスを祝おうね!」
こうして、瑠奈の心には、忘れられないタイのクリスマスの思い出が、刻まれたのだった。