西野順治郎 列伝 88 第11章- 8 関係改善への提言(1)
初めに
今回から4回にわたり西野さんが執筆した論文「日本とタイの関係改善への提言」について紹介します。
今回の「論文」は時事通信社発行の「世界週報」に初めて掲載されたもので、その内容がその後1973年4月号の「クルンテープ」誌に転載されています。(注:現在この「世界週報」は廃刊)
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この論文は、日本企業のタイ進出に伴って発生した問題点を提起し、その改善策を具体的に示すという形で構成されており、いわゆる「論文」になっています。
以下、論文の構成について、イントロダクションでは「根本的に改めよう」という序文から始まり、具体的問題として、貿易と借款の問題、人間関係、日タイ改善のための報道を、の3項目に分けて記述されています。
そのため、4項目に分けて紹介します。
なお、この「論文」は今後日本とタイとの関係を議論する際に貴重な歴史的資料として高く評価されるでしょう。
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根本的に改めよう
タイ国日本人会会長 西野順治郎
昨年末バンコクで起こった学生を中心とする日本品不買運動は、現地新聞の反日的報道によって拍車をかけられ、両国の関係をいっそう深刻な問題に落とし入れた事は記憶に新しい。
この直接の原因として派手な日系デパートの新築開店及びこれと同時に進出したボクシング・ジムに対する反感などがあげられているが、真相はもっと深いところにあると言わねばならない。
学生たちを立ち上がらせた最も大きな原因は、対日貿易の不均衡と急激に増えた日系企業の進出―進出そのものより進出の方法についての問題や短期旅行者を含め、この現地における日本人のビヘイビアに対する反感によるものである。
本文
このような原因から起こった日貨排斥運動は、一応昨年11月末をもって終了したと考えるのは軽率である。
10日間の日本品不買運動の期間に直面して現地及び東京の政財界の人々は、「今後両国間の貿易尻是正に協力する」「日本からの借款条件を緩和する」「現地にいる日本人の態度が悪いのだから改めるべきである」などの発言をしたため、タイの学生たちは気を良くし、今回の運動は大成功を収めたと発表している。
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貿易と借款の問題
しかしながら問題は今後に残されている。前掲のような日本側の発言を率直に聞いてタイ人の学生たちは日本が急速に事態を改善してくれるものと期待しているだろう。
そして、これら関係者たちが発言したことが簡単に改善されない限り、再び或いはもっと激烈な反日運動が展開されることを覚悟せねばならない。
その最初の焦点は1月22日からバンコクで開催され日タイ貿易委員会である。
これに対してプラシット・カンチャナワット商務大臣は「日本が両国間の貿易問題を是正してくれなければ、日本品の輸入制限も考えている」と発言しているが、実情をあまり深く知らない学生たちの期待はもっと大きなものがあろう。
(次回号へ続く)
2024年3月20日 タイ自由ランド掲載
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²: [The New York Times](https://www.nytimes.com/2018/02/03/world/asia/mount-everest-how-tall-nepal.html)
ソース: Bing との会話 2024/1/10
(1) 西野順治郎 – Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E9%87%8E%E9%A0%86%E6%B2%BB%E9%83%8E.
(2) 西野 順治郎 – Webcat Plus. http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/creator/55292.html.
(3) 西野順治郎とは – わかりやすく解説 Weblio辞書. https://www.weblio.jp/content/%E8%A5%BF%E9%87%8E%E9%A0%86%E6%B2%BB%E9%83%8E.