第6章-2 商工省時代 西野順治郎 列伝 61 自由シャムの横顔(1)

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 西野さんが執筆した「自由シャムの横顔」の後付け
西野さんが執筆した「自由シャムの横顔」の後付け

初めに

西野さんは、生前以下4冊の本を発行しています。
「自由シャムの横顔」船形書院、1948年
「メナムの残照」角川書店(角川文庫) 1978年
「日タイ四百年史」時事通信社 1984年
「タイの大地と共に―星霜(せいそう)移り変わる半世紀」日経事業出版社 1996年
× × × ×
今回はその中で、最初の本「自由シャムの横顔」について紹介します。A5版114ページ。
内容は、次の通りで前編「自由の戦い」後編「メナムの雑記」に分かれています。
前編では、タイに関すること、後編では、個人として関わった事を主に書かれており、関心をそそるテーマを挙げて書かれています。特にチェンマイの古い歴史が書かれていますが、今回は省略しました。

本の目次については次の通りです。

自由への戦い
シャムとタイ
バラ園の閣議
悲劇の前夜
誠實の人坪上大使
ピブン元師の下野
地下抗日部隊「自由タイ」
自由のよろこび
民主憲法の確立
宿命対立・ピブンとプリーディー
メナム雑記
マレーからシャムへ
貴族學校ワチラウッド
法政大學
盤谷公使館時代
チャンマイの思い出
盤谷生活と年中行事
常夏の地方を訪ねて
猛獣狩
シャム語とその文學
シャム社會層の瞥見 (べっけん)

発行に至る経緯

この本は、戦後日本へ帰り「商工省」に異動した後に出版されました。
当時の所属していた調査局弟一課は、比較的時間的な余裕があったので、無駄に時間を浪費したくないと考えた西野さんは、日頃思いを巡らしていたタイについて一つの形にして後世に残したいと考えて、この本を出版したのでしょう。
つまり、商工省への辞令が昭和22年8月で、執筆開始が同年10月頃、そして翌年の5月に印刷、発行に至っています。
この本を書くに当たり、勤務中や時間外の時間を利用して少しずつ書き続けたことは、間違いないでしょう。
下書きの一部はタイで書いたと推察します。
もし、そうだとすればタイで書いた一部の原稿をどのように日本へ持ち込んだのでしょうか。
大使館員なので、終戦前にクーリエを利用して日本に持ち込んだのでしょうか。
それとも、引き上げの時に荷物と共にリュックサックの中に入れ持ち込んだのでしょうか。
貴重な資料として肌身から離さず、日本に持ち込んだのでしょう。このことについて事実は不明です。
いずれにしても、タイのことを後世に伝えたい、という西野さんの熱烈な思いを感じます。
× × × ×

シャムとサイアムの発音について

タイトルの「シャム」は昔のタイ国の名前ですが、日本人がこのように発音しました。
しかし、タイ人はサヤームと発音しています。
この国名の変更は1939年に行われていますが、タイ人は「プラテート・タイ」と呼んでいます。

(次回号へ続く)

著者紹介: 小林 豊  2023年2月5日 タイ自由ランド掲載

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(次回号へ続く)

著者紹介: 小林 豊  

2023年1月20日 タイ自由ランド掲載

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