西野順治郎列伝 134 第13章- 8 日本人学校の新築移転と黒い霧 2



この件に対し、能美事務長は土地の入手について「絶対に不正はない」と答弁しましたが、誰も正面から事実を持って不正を指摘するわけでもなく、ただ巷の噂として広がっていきました。
この噂について、西野さんは次のように述べています。
「かって作家の曽野綾子さんがテレビで、『人の噂は人から人に伝わる間にますます誇張され、それがどれほど当事者に迷惑をかけ、不愉快にするものか』と言っていましたが、私もこの噂のために一部の知らない人から誤解され、迷惑を被った」と。
なお、西野さんと曽野綾子さんについては、別途紹介します。
著者が想像するに、従来市内の便利な場所にあった学校を青田(当時)の中に移すことについての反対意見か、あるいは西野さんが長期間にわたり日本人会長を務めたことへの反感を持つ者による策動だったのではないかと考えられます。
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西野さんの自叙伝には「誰が言い出したのか分からないが、学校の土地確保に黒い霧があったという噂が立ち、日本人会総会で質問する者まで現れた」と書かれています。
このことについて、著者の体験を交えて記します。
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著者がタイ来てから、日本人会の下部組織である「懇和会」に入会し、例会に参加した際、園山栄一氏(三和洋行)から、そのような発言を聞いた事があります。
ちなみに、その後まもなく園山氏は糖尿病により亡くなっています。
その後も、日本人学校の授業料が高いのは「西野さんが地主からお金を受け取ったからだ」とまことしやかに語られていました。
今から半世紀以上前の出来事ですが、それだけ有名な話だったのでしょう。
このことについて、当時の日本人学校の能美事務長は土地の取得について「絶対に不正はなかった」と否定しています。
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このことを一歩踏み込んで説明するならば、まずタイの商習慣を理解しなければなりません。
タイでは、いつでもどこでも「コミッション」「キックバック」の習慣があります。
日本ではこれらの習慣は見られませんが、タイでは商習慣として堂々と行われています。
つまり、ビジネス上便宜を受けて利益を得た者は、その相手に対してお礼をするのが当然とされているのです。会社でも職員が取引会社に利益を与えると、取引金額とは別にお礼としてコミッションを受けることが一部ではあります。
(次回号に続く
2026年3月5日 タイ自由ランド掲載








