【タイの田舎の小さな家から】タイ古式マッサージを30日で学ぶ|Day2|タイ古式マッサージの起源と歴史

Day3|創始者シヴァゴー・コマラパ師とは誰か?
伝説と史実のあいだに立つ「癒やしの原点」
タイ古式マッサージの話になると、必ず登場する人物がいます。
それが、
シヴァゴー・コマラパ師(ชีวกโกมารภัจจ์ / Jivaka Kumar Bhaccha)。
彼は「タイ古式マッサージの創始者」と呼ばれていますが、
実はその正体は、歴史上の人物であり、同時に伝説の存在でもあります。
今日は、このシヴァゴー・コマラパ師とは一体誰なのか、
その輪郭を探っていきましょう。
■ ブッダの主治医だったとされる人物
仏教文献によると、
シヴァゴー・コマラパ師は、
釈迦(ブッダ)の主治医を務めていたとされています。
彼はインドの名医に育てられ、
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外科
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内科
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薬草医学
に精通した、当時としては非常に高度な医師でした。
ブッダや弟子たちが旅を続ける中で、
病気や怪我を治療し、僧団を支えた存在だったと伝えられています。
■ 実在した可能性は高い?
「本当に実在したの?」
そう思う人も多いでしょう。
結論から言うと、
実在した可能性は高いが、詳細は不明です。
理由は、
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複数の仏教経典に名前が登場する
-
医師としての役割が一貫して描かれている
一方で、
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生没年
-
具体的な治療法の詳細
などは、はっきり残っていません。
つまり、
歴史的人物の核に、後世の信仰と物語が重なった存在
それがシヴァゴー・コマラパ師なのです。
■ なぜ「マッサージの祖」になったのか
シヴァゴー・コマラパ師自身が、
現在のタイ古式マッサージを
そのままの形で行っていたわけではありません。
しかし彼は、
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人の体を診る
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触れる
-
流れを整える
という医療の基本思想を体現した人物でした。
この「人に触れて癒やす」という姿勢が、
後にマッサージや伝統医療の象徴として、
彼の名と結びついていったのです。
■ 今も続く「ワイ・クルー」の祈り
現在でも多くのタイ古式マッサージの学校や施術者は、
施術の前に短い祈りを捧げます。
その祈りは、
シヴァゴー・コマラパ師への敬意と感謝を表すもの。
これは
「宗教的だからやる」のではなく、
施術者の心を整えるための儀式です。
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自分のエゴを脇に置く
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相手を治そうと“支配”しない
-
ただ最善を尽くす
その姿勢こそが、
タイ古式マッサージの精神的な核なのです。
■ 伝説が残った理由
なぜシヴァゴー・コマラパ師は、
ここまで大切に語り継がれてきたのでしょうか。
それは、
彼が「技術の人」ではなく、
**「在り方の象徴」**だったからです。
知識・技術・慈悲。
この3つが揃って初めて、
人を癒やすことができる。
タイ古式マッサージは、
この思想を今も大切にしています。
■ 触れる前に、心を整える文化
タイ古式マッサージでは、
「どう押すか」よりも先に、
「どんな心で触れるか」が問われます。
その原点に立ち返る存在が、
シヴァゴー・コマラパ師なのです。

「ワット・ポーとタイ古式マッサージの聖地」
なぜこの寺が“総本山”と呼ばれるのかを解説します。




















