📘30日で学べる:タイの同性婚 完全ガイド Day3|タイにおける「家族」と「結婚」の考え方

読了時間 1未満

Day3|タイにおける「家族」と「結婚」の考え方

― なぜ同性婚は簡単ではなかったのか ―

「タイは自由な国」
「恋愛にも寛容」

そんなイメージがある一方で、
“結婚”となると話は別なのがタイ社会です。

Day3では、
なぜタイで同性婚が長く実現しなかったのかを、
家族観・結婚観という文化的背景から見ていきます。


■ タイにとって「結婚」とは何か?

日本では結婚を、

  • 個人同士の契約

  • 愛情の延長線

として捉える人が増えています。

一方、タイでは今もなお、

結婚 = 家族と家族の結びつき

という意味合いがとても強い社会です。


■ 家族は「個人」よりも優先される

タイ社会では、

  • 親の意向

  • 親戚・近所の目

  • 家名・世間体

が、人生の大きな判断に影響します。

特に、

  • 長男・長女

  • 地方出身者

  • 家業がある家庭

では、

「結婚して子どもを持つこと」
「親の面倒を見ること」

が暗黙の期待として存在します。

この前提に立つと、
同性婚は「珍しい」だけでなく、
家族の物語から外れる存在になりやすかったのです。


■ 結婚=経済と責任の契約

タイの結婚は、
ロマンよりも現実が重視される場面も多くあります。

  • シンソット(結納金)

  • 親への経済的支援

  • 親と同居・近居の期待

結婚は、

「二人で幸せになる」
より
「家族全体を支える体制を作る」

という意味を持ちます。

同性カップルは、
この“役割モデル”に当てはめにくかったのが実情です。


■ 仏教は味方?それとも中立?

タイ仏教は、

  • 同性愛を「罪」とはしない

  • 露骨に否定もしない

という、ある意味「中立」な立場です。

ただし重要なのは、

宗教が禁止していなくても
社会慣習が許すとは限らない

という点。

仏教は寛容でも、
家族・親戚・地域社会の価値観が
変わるには時間が必要でした。


■ それでも変わり始めた理由

近年、タイ社会では変化が起きています。

  • 都市化と核家族化

  • 海外留学・SNSの影響

  • 若い世代の価値観の変化

「結婚しない」という選択も、
少しずつ現実的なものになってきました。

この流れの中で、

家族の形は一つではない

という考え方が、
ようやく社会に浸透し始めたのです。


■ Day3のまとめ

  • Tensui
    Tensui

    • タイの結婚は「家族中心」の制度

    • 個人の恋愛だけでは完結しない

    • 仏教は否定しないが、後押しもしない

    • 社会構造の変化が同性婚を後押しした

    次回 Day4 では、
    「同性婚と事実婚・パートナーシップ制度の違い」
    を、制度面から分かりやすく整理します。