タイの母の日2025──水色とジャスミンが包む“国の母”の物語

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タイの母の日2025──水色とジャスミンが包む“国の母”の物語

今日はタイの母の日です。
この日はシリキット王太后様の誕生日であり、国民から“国の母”と呼ばれる王太后様への敬意と感謝を込めて、全国でお祝いが行われています。街や村が水色に染まり、ジャスミンの甘い香りがどこからともなく漂ってきます。水色は王太后様がお生まれになった曜日である金曜日の色、そしてジャスミンは母の愛と優しさを象徴する花です。


王太后様と母の日の由来

シリキット王太后様は、長年にわたり国民の生活や教育、文化を守り育ててこられました。特に農村支援や手工芸の普及、自然災害の被災者への支援活動は多くの人々の記憶に残っています。
ある年、南部で大規模な洪水が起きたとき、王太后様は悪天候の中ヘリコプターで現地に向かわれました。泥に足を取られながらも子どもを抱き上げ、「大丈夫、あなたは一人ではありません」と優しく声をかけられた姿は、多くの国民の胸に深く刻まれています。こうしたお心遣いから、王太后様は国民にとって実の母のような存在になっています。


今日の朝の風景

今日の朝、タイの学校や家庭では「ワイ・クン・メー」という儀式が行われています。子どもたちが母の前に膝をつき、ジャスミンの花輪を捧げて感謝の言葉を伝えます。
会場のあちこちで、母と子が目に涙を浮かべながら笑顔を交わす光景が広がっています。普段は照れくさくて言えない「ありがとう」を、今日はまっすぐに伝えることができます。


村での感動の瞬間

タイ北部のある村でも、朝から母の日の式典が行われています。水色のシャツを着た母たちが並び、その前で子どもたちが花輪を持って座っています。
ある少年が母に花を渡すと、母はその手を強く握りしめ、何度も頷きました。この母親は長い闘病生活を経て、つい最近回復されたばかりです。少年は「お母さんが元気になって本当にうれしい」と話し、周りの人々の胸を温かくしました。


街と王宮の夜の輝き

バンコクの街も、地方の町も今日は水色に包まれています。ショッピングモールや公共施設には王太后様のお写真が飾られ、前にはジャスミンの花束が並びます。
夜になると、王宮周辺は青いライトでライトアップされ、花火やコンサートなどのイベントが行われます。家族連れや観光客が集まり、屋台の食べ物や甘いタイスイーツの香りに包まれながら、笑顔があふれています。


王太后様のもう一つの物語

王太后様は農村の女性たちに仕事を作るため、織物や養蚕などの手工芸を広められました。ある農家の女性は「王太后様から学んだ織物で生活が安定し、娘を大学に通わせることができました。あの方は私にとって第二のお母さんです」と語ります。
こうした物語は全国に数えきれないほどあり、王太后様の優しさと行動力が人々の生活を変えてきました。


母の日の意味

タイの母の日は、血のつながりだけでなく、自分を守り育ててくれたすべての人への感謝を表す日です。孤児院では先生や職員が“母”として花を受け取り、病院や警察署でも働く女性たちにジャスミンが贈られます。
ジャスミンの白い花びらのように、感謝の気持ちは小さくても純粋で香り高く、人の心に長く残ります。


今日はタイの至る所で、水色とジャスミンに包まれた「ありがとう」が広がっています。
王太后様が見守る中、その想いは国中の母たちの胸に届いているのです。