【タイの田舎の小さな家から】タイ古式マッサージを30日で学ぶ|Day2|タイ古式マッサージの起源と歴史

Day2|タイ古式マッサージの起源と歴史
仏教とインド医学が出会った場所
タイ古式マッサージの背景をたどると、
そこには「癒やしの技術」以上の、思想と信仰の歴史が見えてきます。
今日は、タイ古式マッサージがどこから来たのか、
なぜ仏教と深く結びついているのかを、少し深く見ていきましょう。
■ 起源は約2,500年前のインドにある
タイ古式マッサージの源流は、
約2,500年前の**古代インド医学(アーユルヴェーダ)**にあります。
アーユルヴェーダでは、人の身体は
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体(肉体)
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気(エネルギー)
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心(意識)
この3つがバランスよく整っている状態が「健康」だと考えられていました。
この思想は、
「押す」「伸ばす」だけではなく、
全身の流れを整えるというタイ古式マッサージの考え方に、今もそのまま残っています。
■ 仏教とともに伝わった“癒やしの技”
紀元前3世紀ごろ、
インドからスリランカ、ミャンマーを経て、
仏教が東南アジアに広がっていきました。
そのとき僧侶たちは、
教えだけでなく医療や治療の知識も一緒に伝えました。
当時の僧院は、
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学びの場
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瞑想の場
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そして「治療の場」
でもあったのです。
タイ古式マッサージは、
僧侶が人々を癒やすための慈悲の実践として育っていきました。
■ シヴァゴー・コマラパ師という存在
タイでは、タイ古式マッサージの祖として
**シヴァゴー・コマラパ師(ชีวกโกมารภัจจ์)**が知られています。
彼は釈迦(ブッダ)の主治医だったとされ、
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医師
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薬草学者
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ヒーラー
として尊敬されてきました。
現在でも施術前に、
シヴァゴー・コマラパ師へ祈りを捧げる
「ワイ・クルー(師への礼)」を行う流派があります。
これは単なる儀式ではなく、
「自分は人を癒やす行為を行う」という
心構えを整える時間なのです。
■ タイで独自に進化した理由
インド医学がそのまま残ったわけではありません。
タイでは、
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仏教的な慈悲の思想
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中国医学の影響
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タイの気候・生活習慣
これらが混ざり合い、
タイ独自のマッサージ文化として進化していきました。
特に重要なのが、
「セン(SEN)」というエネルギーラインの概念。
これはインドのナーディ、中国の経絡に似ていますが、
タイ古式マッサージでは
「10本の主要セン」に重きを置く点が特徴です。
■ なぜ今も“寺”と深く結びついているのか
現在でも、
タイ古式マッサージの総本山といえば
バンコクのワット・ポー(涅槃寺)。
ここは観光地であると同時に、
伝統医療とマッサージを学ぶ教育機関でもあります。
マッサージが
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商売
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技術
で終わらず、
**「徳を積む行為」**として扱われてきた背景には、
この仏教との強い結びつきがあります。
■ タイ古式マッサージは“生きた歴史”
タイ古式マッサージは、
博物館に置かれる過去の技術ではありません。
今も人の手から手へ、
呼吸とともに受け継がれている
生きた歴史です。
それを知った上で受けるマッサージは、
きっと少し違って感じられるはずです。

「創始者シヴァゴー・コマラパ師とは誰か?」
伝説と史実のあいだにある人物像を掘り下げます。




















