【タイの田舎の小さな家から】タイ古式マッサージを30日で学ぶ|Day5|タイ古式マッサージがユネスコ無形文化遺産に登録された理由

読了時間 1未満

Day5|タイ古式マッサージがユネスコ無形文化遺産に登録された理由

現代における評価とその意味

2019年、
**タイ古式マッサージ(Nuad Thai)**は
ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

「気持ちいいマッサージ」が、
なぜ世界遺産に?

今日はこの疑問に、
現代的な視点から答えていきます。


■ ユネスコ無形文化遺産とは何か

まず前提として、
ユネスコ無形文化遺産は、

  • 建物

  • 遺跡

ではありません。

対象となるのは、
人から人へ受け継がれてきた“生きた文化”

たとえば、

  • 和食

  • 能楽

  • ヨガ

といった、
技術・習慣・思想そのものです。

タイ古式マッサージも、
この「生きた文化」として認められました。


■ 登録された正式名称と意味

登録時の名称は、
「Nuad Thai, traditional Thai massage」

重要なのは、
単なる施術テクニックではなく、

  • 伝統医療

  • 文化的実践

  • 社会に根付いた知恵

として評価された点です。

「誰が」「どんな心で」「どう受け継いできたか」
そこまで含めて、価値があると判断されました。


■ 登録の決め手となった3つの理由

① 生活に深く根付いている文化であること

タイ古式マッサージは、
特別な人だけのものではありません。

  • 家庭

  • 地域

日常の中で行われ、
世代を超えて自然に受け継がれてきました。

② 心・体・社会をつなぐ役割

タイ古式マッサージは、
単に体をほぐすだけでなく、

  • 心を落ち着かせる

  • 人と人をつなぐ

  • 社会的な支え合いを生む

こうした機能を持っています。

③ 商業化されすぎていない精神性

世界中に広まりながらも、
根底には

  • 慈悲

  • 感謝

  • 謙虚さ

といった価値観が残っています。

これが、
「失われる危険のある文化」ではなく、
「守るべき文化」と評価された理由です。


■ 現代社会だからこそ評価された理由

ストレス、孤独、分断。
現代社会が抱える問題は、
心と体の切り離しにあります。

タイ古式マッサージは、

  • 触れる

  • 呼吸を合わせる

  • ゆっくりと時間を使う

という、
今では贅沢とも言える行為を通して、
人を“全体”として整えます。

だからこそ、
現代へのメッセージを持つ文化として
評価されたのです。


■ 登録は「ゴール」ではなく「責任」

ユネスコ登録は、
誇りであると同時に責任でもあります。

  • 雑に扱わない

  • 意味を失わせない

  • 次の世代へ伝える

そのために、
タイでは教育・保護活動が続いています。

私たちが受ける1回のマッサージも、
その流れの中にあるのです。


■ ただのマッサージではない

タイ古式マッサージが世界遺産になったのは、
「技がすごい」からではありません。

そこに、
人を思いやる文化そのもの
息づいているからです。


Tensui
Tensui
👉 Day6では
「タイ人の生活に根付くマッサージ文化」
なぜ子どもから高齢者まで当たり前に触れ合うのかを解説します。