西野順治郎 列伝 91 第11章- 11  関係改善への提言(4)

ロイヤル タイ ポリス(国家警察庁)正面:著者撮影
読み上げ

文化活動の一環として適当なる指導者の下にできるだけ多く若いジェネレーションの意見交換の場をもっと持つとか、両国の学術書の翻訳、紹介等により相互理解を深めて行くべきである。

留学生の交換も歓迎されるべきだが、従来多くのタイ留学生が日本に来て言葉もできないまま特定の大学に在籍するだけで卒業証書をもらってきている。これでは、日本留学生の価値はもちろん、ひいては日本の教育の水準まで疑われることになる。

留学生に対しては、厳しく指導して修得した実力だけの証明を出して帰国してもらうべきである。
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日タイ親善のための報道を

今回の日貨排除に関連してタイにおける在留邦人のビヘイビアが問題になっている。

確かに大部分の日本人は仕事以外の点でタイ人と接触しない。何をやるにも日本人社会だけで集まる癖がある。これは日本人の島国根性的性格と言語の不得手から来るものであるが、この点は根本的に直すべく努力すべきである。

前掲の如く、企業進出について日系企業を脱して国際企業とすべきであると述べたが、個人についてももっと国際人になれと直言したい。できるだけ言葉を習得して1人でも多くのタイ人と交際するよう心がけるべきである。

また在留邦人ばかりでなく、短期間観光で訪れる人たちもタイ人の顰蹙(ひんしゅく)を買うような行動は謹んでほしい。多数の日本人観光団がバンコクの超一流ホテルのロビーを全部占領して胸をはだけて居眠りしていたり、大勢のグループで急遽ゴルフ場に現れスターターを買収して、先に来ているタイ人プレイヤーを後回しにして割り込むことなど目に余るような事実を聞かされることがしばしばである。

これら観光団については取扱旅行会社で事前に十分な予備知識を与えて慎重に行動してもらう配慮があって欲しい。
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最後に日本の報道機関に対してのお願いであるが、今回の日貨排斥事件に対し、日本人の進出振りが良くないとか、在留邦人の行動が間違っているというのに一部の報道では、読み物らしく多少オーバーの取り上げ方をした記事が見受けられたのは遺憾である。

例えば、日系企業は同業現地企業に比して一般にタイ人雇用に対する給料水準が高すぎると言われているのにかかわらず、「低賃金に泣く日系企業の職員」などと報道されたこともある。

これらの記事は外伝で直ちに現地に打ち帰され翌日のタイ字新聞に取り上げられて「それ見たか、日本人自身でもこういっている」と書かれ、その結果反日感情を高める資料となった。

願わくば、報道においてももっと前向きにいかにして両国の親善関係増進を図るべきかと言うような記事を取り上げてもらいたいものである。もちろん、在留邦人や進出企業に対する厳しい要望であっても結構である。((株)トーメン)

(次回号へ続く)

著者紹介: 小林 豊
1948年北海道生まれ、自称フリー作家、在タイ38年、神奈川大学卒業、小林株式会社創業者、西野順治郎氏と長年交流。
著者へのメール:kobayashiyu99@gmail.com

 

 2024年5月5日 タイ自由ランド掲載

Tensui

この記事は、日本とタイの文化交流と相互理解を深めるための提案を詳しく述べています。特に、若い世代の意見交換の場の設置、学術書の翻訳・紹介、留学生交換プログラムの改善など、具体的な施策が提案されています。

🔗 日本とタイの長い歴史的な絆と、両国の友好関係を深めるための様々な取り組みが紹介されています。文化外交の重要性が強調されており、お互いの理解を深めることの大切さが説かれています。

🔍 在留日本人のタイ人との交流不足や、一部の日本人観光客のマナー問題にも言及し、改善の必要性を指摘しています。報道機関にも、両国の親善関係を前面に押し出した報道を求めています。

🫶 日本とタイの絆を一層強化し、相互理解を深めていくための具体的な提案が詳しく述べられており、大変参考になる内容だと思います。文化交流の重要性を再認識させられる良い記事ですね。

💡 さらに、両国の学生交流プログラムの拡充も提案されています。留学生の質の向上と、相互理解の深化につながる取り組みだと評価できます。

🙂 日本とタイの友好関係をより一層発展させていくための、建設的な提言が盛りだくさんの記事だと思います。両国の絆を深めていくための具体的な施策が示されており、大変参考になる内容だと感じました。

[word_balloon id="2″ size="M" position="L" name_position="under_avatar" radius="true" balloon="talk" balloon_shadow="true"]西野順治郎さんは、日本の外交官、実業家、教育者であり、初代在泰日協会学校理事長、元タイ・トーメン社長・会長です¹。西野さんは、1917年8月9日に大阪府岸和田市で生まれ、横浜専門学校(現・神奈川大学)で学び、外務省留学生試験に合格し、タマサート大学法学部に国費で留学しました¹。西野さんは、タイで1969年に発表された小説『Khu Kam(運命の人)』を、『メナムの残照』の題で翻訳しました¹。²¹: [Wikipedia](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E9%87%8E%E9%A0%86%E6%B2%BB%E9%83%8E)
²: [The New York Times](https://www.nytimes.com/2018/02/03/world/asia/mount-everest-how-tall-nepal.html)

ソース: Bing との会話 2024/1/10
(1) 西野順治郎 – Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E9%87%8E%E9%A0%86%E6%B2%BB%E9%83%8E.
(2) 西野 順治郎 – Webcat Plus. http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/creator/55292.html.
(3) 西野順治郎とは – わかりやすく解説 Weblio辞書. https://www.weblio.jp/content/%E8%A5%BF%E9%87%8E%E9%A0%86%E6%B2%BB%E9%83%8E.[/word_balloon]

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