「あぱまん情報」2023年6月5日掲載 T.W.Yバンコク都市開発研究所 電気代

世界の電気事情 ドイツは2倍に上昇

電気代は国・年代等様々な事情や理由で違ってくる。ドイツでは再生可能エネルギー普及振興により、環境税が加算され電気代は高い。イタリアは、火力発電の比率が高く、化石燃料の多くを輸入に頼るため電気代の変動が激しい。一方、フランスは原子力発電の比重が高いため、電気代が安く維持できる。米国は、火力発電の割合が高いものの、化石燃料を自国で賄っているため電気代を安く抑えることが可能だ。 2022年のロシアによる西欧へのガス供給停止は、エネルギー市場に大きな混乱をもたらした。特に、ドイツの電気代単価は、2023年1月から1kWh(キロワットアワー)61.9セント(81.7円・132円/$換算)と約2倍に高騰した(図表1)。

(資料)経済産業省資源エネルギー庁2022年度版IEA「Energy Prices and Taxed for OECDCountries 2020」を基に作成 ※米国は内訳不明

日本の電気料金目安単価は31円/kWhに上昇

1990年代の日本の電気代は、世界と比較した場合かなり割高な水準となっていた。その後、世界的な燃料価格の上昇や各国のエネルギー政策などに基づく増税などの影響により格差は縮小されていった。 日本の電気代は、2011年の東日本大震災以降上昇後、2014~2016年の原油価格下落により一時的に低下したが、現在は再び上昇している(図表2)。現在、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が定めている電気料金の目安単価は、2022年7月に従来の1kWh27円から31円(税込)に改定している。

(資料)経済産業省エネルギー庁「日本のエネルギー2020

タイの電気代単価は日本よりかなり安いが…

タイのエネルギー規制委員会(ERC)によると、2019年1~4月の家庭向け電気代単価は1kWh 3.64バーツが、2023年5~8月には4.70バーツ(約18.8円・4円/バーツ換算)まで上昇した(図表3)。それでも、タイの電気代単価は日本よりかなり安い。しかし、タイは非常に暑く、電気消費量の高いエアコンを多く使用するため、電気代総額は日本より高くなる。 ところで、タイ電気公社の請求書には、日本同様kWhで記載されているが、タイでは口頭ベースで話をするときは必ず「Unit(ユニット)」が使われているので注意いただきたい。

(資料)タイ・エネルギー規制委員会(ERC)

噂の検証:エアコンつけっぱなしがお得?‼?!

日本では、「こまめにエアコンを消すように」と言われて育ってきたと思う。しかし、タイでは、エアコンは1日つけっぱなしにした方が良いとよく聞く。タイ人の知人からも、こまめにエアコンを消すのは電気代がかかるからやめた方が良いと言われる。実際にはどうなのか?図表4は、2016年にダイキンで発売されたエアコンの消費電力をもとに、エアコンをつけっぱなしにした場合と、そうでない場合の電気代を検証した事例である。確かに一日中つけっぱなしにした方が若干お得であるが、こまめにオンオフを繰り返すと、この差はさらに広がるようだ。30分だけ外出したり、入浴したりするケースなら下手にエアコンをオフにせず、稼働させた方が良いということだ。

(資料)タイナビ(Switch2017/6/2)(注)冷房消費電力1250(150~1730)W  エアコンは稼働し始めが一番電力を使う。安定期は150W150W×1時間×電気料金(26円/KW)=3.9円

エアコンをインバータに交換するのも一案

エアコンをつけっぱなしにするなら、サーキュレータを共用することで、さらに電気代を年間3,600円安くできるという試算もある。エアコンの空気を部屋の隅々までいきわたらせることにより冷房効率がアップする。扇風機でも代用することができる。 ところで、ダイキン工業によるとエアコンの省エネ性能はここ10年で40%以上も向上しているという。単に、エアコンを変えるだけでも、電気代を効果的に節約できるようだ。さらに、旧式エアコンをインバータエアコンに交換することも検討してみる価値はある。消費電力は58%も省エネになるという(図表5)。インバータエアコンは±2℃でコンプレッサが作動し、自動的に設定温度をキープしてくれるので、寒すぎたり暑すぎたりという温度ムラを解消するとともに、低電力で温度管理を行う。日本では30年ほど前からインバータエアコンが使われているが、タイでの普及はこれからというところ。一度、検討してみはいかがか。

(資料)第一セントラル(タイランド)2021/12/8
右から3番目:タマサート大学留学生の常盤美海さん(創価大)。TWY社はインターンシップを毎年受け入れている(累計15名)。

 

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T.W.Y.Co.,Ltd  バンコク都市開発研究所 顧問 愛川裕二

顧問 愛川裕二

1983年より30年間㈱大京に勤務。ビル事業、マンション本部、企画部門に配属後、1987年不動産研究誌「ランドビジネス」(経済白書にも引用)編集長となる。1990年大京総合研究所課長を経て、1992年より建設省と国土庁の外郭団体財団法人土地総合研究所に出向、定期借地研究会事務局責任者等土地政策に貢献。2001年「軽井沢ホットスプリング」開発運営責任者となり、日本一のペット可能宿泊施設(年間2万人犬4千匹宿泊)にする。2006年以降PM,AM、コンプラ等を経て、2017年よりTWY社顧問。 不動産コンサルテイングマスター、不動産証券化協会認定マスター、ビル経営管理士、コンプライアンスオフィサー、再開発プランナー

 
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2023年6月5日 タイ自由ランド掲載

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