あぱまん情報2022年12月5日掲載 T.W.Y. バンコク都市開発研究所 タイ・バンコクのオフィス市場と今後の予測
オフィス空室率は増加か?
タイ・バンコクオフィス市場は、1990年代高い経済成長に支えられ急成長した。1991年100万㎡強であったオフィス床供給面積累計は、アジア通貨危機を迎える1997年には600万㎡弱まで成長した。通貨危機後、2008年のリーマンショックまで、700万㎡台と横這い状況が続いたが、2010年に約800万㎡に達し、2020年には900万㎡を超えた。これは、外国の直接投資の増加、金融市場の高度化、タイ内需成長によるものであった。大量のオフィススペースが供給されても、十分に需要でカバーできた。その結果、2018年には6.6%と史上最低の空室率となった。しかし、2020年以降、オフィスの供給過剰により、20%を超える空室率の増加が予想される(図表1)。
オフィス賃料は下落傾向
バンコクのオフィス市場は、2020年に最高額の賃料となった。しかしながら、同年3月から感染拡大した新型コロナウィルスにより、オフィスワークは変化しオフィス需要が急激に減少、賃料は10年ぶりの下落となった(図表2)。 ただ、2022年のアジア主要都市の都心地区のオフィス賃料比較では、バンコク賃料は東京の1割程度の低水準にとどまっており、アジアの経済発展から考えて、バンコクのオフィス賃料は、今後上昇しうる余地があると思われる。
今後のオフィス市場 オフィス床大量供給
2022年以降、大量のオフィス物件が完成予定となっている。2023年には日系不動産大手の三菱地所による「One City Center」(61,000㎡)(図表3)、2026年には、現日本大使館南側旧ナイトバザール跡の超大型複合施設「OneBangkok」(225,000㎡)など125万㎡のオフィススペースが現在建設中である(図表4)。
これまでオフィス市場は、年間20万㎡の新規供給が適正ラインと考えられていた。しかし、2020年以降大量のオフィス建設による供給過多、さらに、新型コロナウィルスによるオフィスワーク変化による需要の大幅減少により、適正需給ラインはしばらくの間、下方修正されると考えられる。なお、1998年のアジア通貨危機や2008年の世界金融危機などの経験則からすると、回復までに数年はかかると言われており、オフィスビルの厳しい時期が続くであろう。特に、利便性が劣るエリアにある築年数の古いオフィスビルは、今後競争力を失い、リノベーションへの転換を迫られるであろう。
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