あぱまん情報2022年11月5日掲載 T.W.Y. バンコク都市開発研究所 タイ・バンコクのコンドミニアム市場

土地価格サイアムスクエアが最高350B/4

AERAの地価データによると、1985年の地価水準を1.0とすると1995年には31.3と、10年間でバンコクの地価は30倍強に上昇している。1997年アジア通貨危機によりタイ経済は落ち込み、地価は一時下落したが、その後年平均35%の右肩上がりの上昇が続いた。2019年には14%の大幅上昇となったが、翌2020年には6%に上昇率は落ち着いている(図1)。 タイ政府住宅銀行(GHB)傘下の不動産情報センター(REIC)のバンコク首都圏(15県)の売地実勢価格調査では、2021年第一四半期は2.2%下落であったが、第二四半期から上昇に転じている。また、AREAの調査によると、2022年上半期にバンコク都内で地価が最も高かったのはサイアムスクエア地区で、1タランワー(4㎡)あたり350万バーツと前年同期比6%の上昇となった。同社は22年下半期も地価の上昇が続くとみている。(プラチャーチャート・トゥラキット新聞2022/6/28)。

(資料)AERAより作成 (注)バンコク首都圏 1985年=1.0

2022年上半期 都心部の供給は1棟のみ

バンコクで新規に供給されたコンドミニアムを、都内中心部(Downtown)と都内周辺部/郊外部(Midtown/Suburban)、に分けて示したのが図2となる。2006年には両エリア合計が約13千戸であったが、中国投資家の存在が高まり、2016年には5倍の約7万戸となった。しかし、2019年タイ中央銀行(BOT)による住宅ローン融資基準の厳格化による実需減少、中国投資家の仮需減少と供給過剰による在庫増により、2021年には供給戸数は約3万戸まで落ち込んだ。2022年上半期は都心部での供給は供給調整により1棟(217戸)のみとなったが、路線延長・新規路線の開発により都内周辺部および郊外の需要は伸び、供給は一定数行われた。

(資料)CBRE Researchより作成 (注)Newly Completed Bangkok Condominiums 2022年以降は予測

セントラル・ルンピニエリアの価格特出上昇

バンコクのコンドミニアムの平均価格は、200611万バーツ/㎡であったものが、11年後の2017年には27万バーツ/㎡と2.5倍以上の価格まで上昇した。2019年トンロー駅前にThe Strand Thonglor188戸)が販売され、「トンロー㎡36万バーツ時代突入」と騒がれた。 2020年以降は、Central Lumpiniエリアのみ50万バーツ/㎡を超えたが、その他のエリアは横這いとなる。

(資料)CBRE Researchより作成 (注)都心部高級コンドミニアム対象 Average Asking Prices of future units
The Esse Sukhumvit 36 2020年 トンロー駅1分 43F 36万バーツ/㎡ 全337戸 シンハーグループ

世界に誇る「One Bangkok」タイ最大規模

20203月タイを襲った新型コロナウィルスは市場に大きなダメージを与えたが、2022年後半から不動産市場が持ち直すとの予測も出ている(ナイトフランク社)。今後は約10万戸あると言われている在庫をいかに早く処分するかが課題であろう。このような中で、タイ最大規模の不動産開発「One Bangkok」が動いている。タイ大手財閥のTCCグループ傘下の会社が手掛ける物件で、バンコクで最上級のオフィスや外国の一流ホテル、商業施設や芸術文化施設、高級コンドミニアムが入る複合施設を建設している。2019年に工事が施行されて2026年には全ての工事が完工する予定だ。今後の動きに注目していきたい。

One Bangkok 2026年完成 総投資額1,200億バーツ 高級コンド3棟、ホテル1,100室、オフィス50万㎡

2022/10/5号 「コンドミニアム市場」

2022/11/5号 「コンドミニアム市場」

 https://youtu.be/32wDlmurxU8

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著者紹介:T.W.Y.Co.,Ltd バンコク都市開発研究所 顧問 愛川裕二
顧問 愛川裕二
1983年より30年間㈱大京に勤務。ビル事業、マンション本部、企画部門に配属後、1987年不動産研究誌「ランドビジネス」(経済白書にも引用)編集長となる。1990年大京総合研究所課長を経て、1992年より建設省と国土庁の外郭団体財団法人土地総合研究所に出向、定期借地研究会事務局責任者等土地政策に貢献。2001年「軽井沢ホットスプリング」開発運営責任者となり、日本一のペット可能宿泊施設(年間2万人犬4千匹宿泊)にする。2006年以降PM,AM、コンプラ等を経て、2017年よりTWY社顧問。 不動産コンサルテイングマスター、不動産証券化協会認定マスター、ビル経営管理士、コンプライアンスオフィサー、再開発プランナー

 

 
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2022年10月5日 タイ自由ランド掲載

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