あぱまん情報2022年4月5日掲載 T.W.Y. バンコク都市開発研究所 世界の企業 ロシア、中国、韓国から相次ぎ撤退する世界企業 タイは?

300社以上の外国企業がロシアから撤退?

ロシアがウクライナに侵攻 核保有国であるがGDPは韓国並みの小国ロシア
【図表1】ロシアから撤退・事業停止企業 (資料)米国エール大学資料(2022/3/8時点)
ミャンマー国軍クーデター後も中国・ロシアは同国に武器供与継続

  2022年2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻、市民を巻き込む無差別攻撃、さらに原子力発電所までも砲撃し世界を震撼させている。欧米各国は、ロシアをSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除、またロシア中銀の外貨準備を凍結する先進各国の措置を合わせて打ち出すなどしたことにより、ルーブルに対する信頼性は大きく低下、ルーブル暴落が生じた。 このような中、イケアやマクドナルドなど外国企業が相次いでロシア事業の一時停止や撤退を決めており、その数は約300社に上り、さらに増え続けている(図表1)。

世界各地で外国企業が逃げ出している

このような外国企業の撤退は、ロシアのみならず、最近は世界各地で見られる。韓国からも外国企業が次々と逃げ出している。2019年に韓国を撤退した企業は173社(内日本45社)と前年の3倍近くに激増した。同年7月の日本製品の不買運動や、いわゆる元徴用工訴訟など「反日」の被害を受けた日本企業が最も多いが、米国や香港、中国、ドイツなどの外国企業にとっても韓国が魅力的でない市場ということから「脱韓国」の流れとなっている。 2021年2月国軍によるクーデターが発生したミャンマーからの事業撤退も相次いでいる。三菱商事は天然ガス採掘から撤退する方針を決めており、キリンホールディングスも2022年2月に撤退を表明した。

企業の「中国撤退・離れ」が加速「脱中国化」

コロナ感染拡大後、中国離れが加速する

2019年6月、アップルがiPhoneなどの中国での集中生産を避けるように主要取引先へ要請したことが話題となったが、任天堂も同年7月に家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の生産ラインの一部を中国からベトナムへ移管する旨を発表するなど、国際社会で「脱・中国化」の風が吹き荒れた。このように、名だたる企業が中国からインドネシア、ベトナム、タイなどの国へと生産移管を進めている。 さらに2019年12月以降の「新型コロナウィルス(以下、「コロナ」という。)の感染拡大により、中国に拠点を持つ外資系企業が、一斉に中国からの撤退を始めた。日本の経産省も、中国撤退のための「補助金」支給を採択し、シャープ、HOYA、アイリスオーヤマ、テルモなどの日本企業も中国撤退を開始している。  

「在留邦人」タイでは大幅に増加

【図表2】在留邦人数 世界ランキング (資料)外務省領事局政策課「海外在留邦人数調査統計」2021年10月1日現在

外務省の2021年10月1日現在の推計で、日本の領土外に在留する邦人(日本人)の総数は、134 4,900人で前年より12,824人(約0.9%減)となり、引き続き、コロナの世界的な感染拡大の影響を受けた結果となった。国別では、トップが「米国」で全体の約32.0%(429,889人)、2位は「中国」約8.0%(10 7,715人)、3位は「オーストラリア」約6.9%(93,451人)、そして「タイ」が約6.1%(82,574人)で第4位にランクインした。中国は2012年をピークに9年間で28.3%の減少となっているが、タイでは2012年の55,634人から9年間で48.4%の大幅増となっている(図表2) 。

日系企業総数はタイが急上昇第3位

【図表3】日系企業総数2020年上位10ヵ国 (資料)外務省「海外在留邦人数調査統計」(~2017) 外務省「日系企業進出動向調査」(2019~) ジェトロバンコク事務所「タイ日系企業進出動向調査」(2020) ※2020年ロシア421、英国957、カナダ948、豪州832 マレーシア1,230、シンガポール966、韓国931、ミャンマー549

外務省が在外公館などを通じて実施した調査によると、2020年10月1日時点で海外に進出している日系企業の総数(拠点数)は、8373拠点となる。国別では、1位が中国の33,341拠点(約41.4%)、2位が米国8,930拠点(約11.1%)、3位にタイ5,856拠点(約7.2%)、4位にインド4,948拠点(約6.1%)となっている。日本企業の世界各国への進出がこの数年間で横這い又は撤退している中、タイでは大幅に増加し、2020年インドを超えた(図表3) 日本からタイへの進出の歴史は長いが、日本企業がタイを投資有望国として、引き続き高く評価していることが増加の背景と考えられる。タイ中央銀行によると、日本のタイへの直接投資残高は2017年の816億ドルから2020年には953億ドルと16.8%増加している。こうした日本企業によるタイに対する評価と実際のタイへの投資の増加が、進出日系企業数の増加につながっている。  

著者紹介:T.W.Y.Co.,Ltd バンコク都市開発研究所 顧問 愛川裕二
1983年より30年間㈱大京に勤務。ビル事業、企画部配属後、1990年大京総合研究所課長を経て、1992年財団法人土地総合研究所出向。2006年以降、PM、AM、コンプラ等を経て、2017年よりTWY社顧問。 不動産コンサルテイングマスター、不動産証券化協会認定マスター、ビル経営管理士 >aikawayuji07@gmail.comまでご連絡ください。  
 

 

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2022年4月5日 タイ自由ランド掲載

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