日本産和牛が人気急上昇、さらに伸びるタイでの消費

海外での認知度が高まっている和牛は、英語ではジャパニーズ・ビーフでなくそのままWAGYUと表記されることが多く、最近はタイにもどんどん日本の和牛が入ってきています。日系店のみならず和牛を提供する飲食店舗が増えており、人気番組、タイ版料理の鉄人でも、勝負の素材として、和牛は登場しています。

以前は担ぎ屋が店舗からオーダーを受けて、直接運んでいるケースが多かったですが、タイでの和牛の需要が増えるとともにタイへ和牛を卸す日本の業者も増えました。

2013年より鹿児島産黒毛和牛をタイへ出荷している福岡県の福永産業に話を聞くと、年々タイへの出荷量は増えていて今後も増加する見込みといいます。今年の出荷量は対前年比+37%で増加しており、タイでは霜降りの多い部位が人気だそうです。

パラゴンやエンポリアムなど高級ショッピングモールの食肉売り場へ行ってみると、和牛はかなり広いスペースを取っていて、販売に力が入っています。

オーストラリア和牛というのもあり、和牛は日本の牛のことではないのかと混乱しますが、和牛とは日本産の牛という意味ではなく、特定の品種のことなので、アメリカ和牛、スコットランド和牛も存在します。

オーストラリア和牛は、日本の和牛よりかなり安く売られていますが、「質・味ともに全く 日本の和牛には敵いません」と福永産業の担当者は話します。日本の和牛生産者の技術とこだわりに対しての海外の評価は高く、他国の和牛と差別化するために本物の日本産の「和牛」には、「和牛統一マーク」が付いています。

トンローの個室会席北大路では、和牛を使ったコースが人気で、メニュー作りの際、和牛という日本の食文化をタイに広めていきたいという考えがあったといいます。

タイ人には、黒毛和牛の朴葉焼き、黒毛和牛炭火焼きが好評で、予想していた以上に和牛に対するニーズは高いそうです。

北大路では、和牛の産地ブランドにこだわるのではなく、その時に仕入れられる品質の良い和牛を選んで購入しているそうで、そのためサプライヤーも1社に限定せず、複数と取引することでよい競合関係を生み、高い品質のものが安定して入荷できるようにしています。

一度企画で神戸牛を販売したこともありましたが、価格と品質を比較した際に、現在取り扱っている和牛の方がコストパフォーマンスが良かったので神戸牛は取りやめたそうで、神戸牛と食べ比べしても遜色のない味と品質で、顧客の満足度も高いといいます。

一方、TPPにより関税撤廃で日本の牛肉などもタイに入りやすくなっており、今後ますます日本からの和牛が輸入される見込みです。

またここ数年、タイで和牛の認知度が高まったのは、日本の各地方がタイへ直接特産品を売り込むようになったことも理由のひとつで、福永産業も福岡銀行主催「九州 食の商談会inバンコク」への出展がタイへ出荷するきっかけになったといいます。

和牛の産地ブランドは日本全国で200種類をはるかに超えているそうで、近江牛、佐賀牛、米沢牛など日本各地の産地名を付けた和牛がタイでも販売されています。

日本を訪れるタイ人観光客が飛躍的に伸び、日本で和牛を楽しんだタイ人が増えたことも、和牛が知られる後押しになっており、特に九州方面のツアーでは和牛の食事を組み込むケースが多くみられます。

和牛人気の理由はいろいろありますが、やはり美味しさが世界的に認められたということに尽きるでしょう。

各種和牛を提供している鮨忠&焼肉カーニバルでも和牛をオーダーするタイ人は、確実に増えているといいます。

和牛を食べた人は口々に「やわらかい」と言いますが、噛みしめて肉汁の旨みを味わう従来の肉の楽しみ方とは違う、和牛の口の中でとろける食感が、タイ人の間でも新しい感覚として受け入れられています。

またステーキだけでなく薄切りでしゃぶしゃぶやすきやきとしても楽しめる日本の食文化として、タイにもしっかり根を張りつつあります。

 

2015年11月5日 タイ自由ランド掲載