【タイの田舎の小さな家から】犬侍と魂の灯 〜バナナに惹かれて事件解決！？〜

タイの田舎村は、蒸し暑さと蚊に悩まされる場所だった。60代の日本人浪人、通称「犬侍」こと佐藤源太郎と、彼の愛犬で毛玉だらけのジェットは、この静かな村で隠居生活を送っていた。

ある朝、犬侍は汗だくになりながらジェットと森を散歩していた。

「ジェット、お前も歳だな。最近散歩がきつそうじゃ」

すると突然、ジェットが何かを見つけて森の奥へ猛ダッシュ。

「おい、待てい！この老骨にムチ打つつもりか！」

犬侍は息を切らしながら追いかけ、ジェットの吠え声が聞こえる場所に到着した。そこで目にしたのは、無惨にも倒れた農民の遺体だった。

村長の娘メイが涙を流しながら駆けつけてきた。

「お願いです、犬侍さん。この村で何が起きているのか、調べてください。」

犬侍は鼻をほじりながら答えた。「ワシには関係のないことでござる。それに、こんな暑さじゃ動く気にもならんわい」

しかし、メイが持ってきたモンキーバナナを見た瞬間、犬侍の目が輝いた。

「仕方ないのう、そのバナナをもらったからには、調べてやらねばなるまい。…ところで、これおまけつきじゃろ？」

メイは困惑した表情で答えた。「え？おまけですか？」

犬侍は笑いながら言った。「冗談じゃ。さあ、事件の真相を解明するとしようか」

犬侍とジェットは、まず村の警察官ソムチャイを訪ねた。ソムチャイのオフィスは扇風機1台だけの蒸し風呂のような場所だった。

ソムチャイは汗だくで言った。「村の人たちは事件について何も話したがらないんだ。みんな何かを怖がっているみたいなんだ。」

犬侍は眉をひそめて答えた。「そりゃ、お前の体臭を怖がっとるんじゃないか？」

ソムチャイは恥ずかしそうに脇の下を嗅いだ。「そんなことないよ…たぶん」

犬侍は村を歩き回り、証拠を探し始めた。ある農夫が小さな声で言った。

「夜になると、森の奥で奇妙な光が見えるんです。でも、誰もそこに近づきたがらないんですよ。」

犬侍は興味深そうに尋ねた。「ほう、それは興味深い。その光、UFOじゃないのか？」

農夫は真剣な顔で答えた。「いいえ、UFOなら私たちは喜んで近づきますよ。これはもっと怖いものです。」

犬侍は村の古い記録を調べ、20年前に起きた未解決の殺人事件の存在を知った。

夜、犬侍とジェットは森の奥に向かった。ジェットは鋭い嗅覚で何かを見つけた。

「おお、ジェット。何か見つけたか？…って、それただの骨じゃないか。お前、いい加減年だな」

しかし、その近くには村の有力者チャイのものと思われる証拠が隠されていた。そして、彼らは奇妙な光の正体も目撃した。それは、古びた祠に置かれた不気味な灯火だった。

犬侍は驚いて叫んだ。「なんじゃ、これは！村の古い伝承に出てくる「魂の灯」じゃないか！…って、ジェット、そこでおしっこするんじゃない！」

犬侍はチャイの屋敷に乗り込んだ。チャイは初めは余裕の表情をしていたが、犬侍が証拠を突きつけると、その顔色が変わった。

「あなたは権力を使って、過去の事件と今回の事件を隠そうとしたのですね。」

チャイは震える声で答えた。「そ、そんな…私はただ…」

犬侍は厳しい目つきで言った。「言い訳は無用じゃ。お前の悪事はすべてバレておる」

チャイは突然、大声で泣き出した。「わかったよ！全部白状する！でも、あのバナナは返してくれないか？」

犬侍は困惑した顔で答えた。「バナナ？何の話じゃ？」

チャイは顔を真っ赤にして言った。「あ、いや…なんでもない」

事件が解決した後、犬侍は村に残ることを決意した。彼は村の人々との絆を深め、武士道精神を伝え続けた。

ある日、メイが犬侍に尋ねた。「犬侍さん、武士道って何ですか？」

犬侍は真面目な顔で答えた。「武士道とは…そうじゃな…バナナを大切にすることじゃ」

メイは困惑した表情で聞き返した。「え？バナナですか？」

犬侍は大笑いしながら言った。「冗談じゃ。本当の武士道とは、常に正義の味方であり、弱き者を助けることじゃ。そして時々…バナナを食べることじゃな」

こうして、犬侍と村人たちの楽しい日々が続いていった。