レストランの進出はタイ側のパートナーが重要

日本のレストランのタイ進出が止まらない。以前は個人の店が多く、在タイの日本人向け主体だったが、今は、日本の大手資本のレストランが、タイの大手と組むケースが多く、ターゲットはもちろんタイ人。

この場合、タイ側の組む相手が非常に重要で、日本のコンセプトをうまくタイ人に浸透していけるか、が問題。大手であってもうまくいかずに撤退するケースもあり、順風満帆の進出ではない。

自社のショッピングセンターもあり、多数の日本レストランがテナントとして入っているセントラルは、とにかく日本の大手レストランがこぞって組んでおり、フランチャイズ制により、運営などはセントラル側にまかせているところも多い。

2店目がオープンした天丼の「てんや」をはじめ、大戸屋、吉野家、ちゃぶとん、ペッパーランチ、RYUしゃぶしゃぶなど、ずらりと日本の大手が並ぶ。ノウハウをセントラル側に明け渡す必要はあるかも知れないが、次々にショッピングセンターに入れてもらえるのはありがたい。以前、タイ進出してうまくいかなかった吉野家や以前、ベタグロと組んでいた大戸屋は、セントラルに乗り換えた形だ。

大手とはいえ、日本にないメニューを追加して、タイ人向けに合わせたりなどの努力は必要で、そのあたりの趣向は経験と実績のあるセントラルが担うという形だ。

タイでの日本食の市場は150億バーツといわれ、1年に10~15%の伸びを示している。

加工食品大手のベタグロも、日本の大手フォーシーズと組んで、サイアムパラゴンに「宮武讃岐うどん」
をオープン。5年で40店を目ざすとしている。1店舗当たりの投資額は1000万バーツ。今年は4店ほどをオープンの予定。フォーシーズは日本で宅配ピザの「ピザーラ」なども展開しており、それもベタグロによりタイで展開する予定。

タイではレストランなど飲食店は、日本独自の資本では営業できず、タイ側51%の株をタイ企業かタイ人個人が持たなくてはならない。そこで日本の大手は以前、すでにタイに進出している日系企業で、そのタイの子会社などに株を持ってもらい、独自の運営を展開していたが、タイのマーケットを把握するのは難しく、最近ではタイ人の趣向を把握したタイ大手の企業と組むケースが増えている。ただその場合は、ブランド名は生きるが、利益率は低いといわれ、数多く店舗展開しなければ採算は合わない。

うどんでいえば、すでに丸亀製麺がセルフ形式のうどんでタイ進出しているが、タイ側のブティック社は、スクムビットのレインヒルを所有しており、そこにタイ1号店を2年前にオープンしている。現在9店舗あり、今後3年で30店を目ざすとしているが、うまくいくかはタイ側のパートナーによるところも大きいだろう。

一方、バイヨク・ホテルグループは、みそかつ、とんかつの「矢場とん」のフランチャイズ権を得て、今年オープンを予定している。同社はタニヤやトンローにある牛角も誘致しているが、リノベートを予定しており、見たところ苦戦している模様だ。

また、日本村モールにオープンした、つぼ八、伊藤課長は、展示イベント大手のインパクト・エキシビジョン社と組んでおり、5年で20店舗を目ざしている。郊外のインパクトにつぼ八が「ラーメン大正亭」をオープンさせ、トムヤムとんこつラーメンなどタイ人の趣向に合わせたメニューを提供している。

そのほか、MBKフードはフジオフートシステムと組み、サイアムのMBKセンター6階に「藤屋食堂」をオープンする。今後20~30店の出店を目ざす。日本ではまいどおおおきに食堂などを展開する大手だが、以前いオイシ・グループと組んで、まいどおおきに食堂を展開し、思うような展開ができなかった経緯があり、今回はパートナーを変えて再度挑戦というところだろう。

また、飲料水やレストランなどを展開するオイシ・グループは「家族亭」や「かかし」を展開しており、すでにレストラン事業のノウハウはあるため、あとは意志の疎通ができるかどうかにかかってくるだろう。

一方、オイシの創業者で、すでに同社を売却し、イチタン・グループを率いているタン氏は「寿司小樽」と組んでトンローの自分の敷地でオープンしている。

このように、今後もまだまだ日本のレストランが進出してくる模様で、タイ人に合わせたメニュー開発など、競争はさらに激化していきそうだ。

 

2014年1月5日 タイ自由ランド掲載