
Day 6|タイのお寺でよく見る仏像の種類
〜仏像のポーズを知るだけで、お寺が“読める”ようになります〜
タイのお寺を歩いていると、
ふと、こんな疑問が浮かびます。
「同じお釈迦さまなのに、
どうして姿や手の形が違うんだろう?」
実はこれ、
仏像がバラバラに作られているわけではありません。
タイの仏像はすべて、
**意味を持った“メッセージ”**なのです。
タイの仏像は「ポーズ=物語」
タイ仏教(上座部仏教)の仏像は、
お釈迦さまの人生の場面を表しています。
つまり仏像は、
「何をしている仏か」
を見れば、
その寺が大切にしている教えまで分かるようになっています。
よく見る仏像①|座っている仏像(坐仏)
悟りの瞬間の仏像
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右手が地面に触れている
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左手は膝の上
これは、
悟りを開いた瞬間を表す最も重要なポーズ。
「迷いに打ち勝った」
「真理に到達した」
という意味があり、
王室寺院や格式の高い寺に多く見られます。
瞑想の仏像
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両手を重ね、静かに座る
これは、
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修行
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内省
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心を整える
ことを象徴します。
静かな地方寺院や、
修行僧の多い寺に多いポーズです。
よく見る仏像②|立っている仏像(立仏)
立っている仏像は、
「行動」「人々との関わり」を表します。
説法の仏像
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手で輪を作る
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手のひらを前に向ける
意味は、
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教えを説く
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人々を導く
庶民寺院や、
人の集まる町のお寺でよく見られます。
守護・祝福の仏像
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片手を上げている
これは、
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災いを退ける
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安心を与える
という意味。
村の入口や、
道路沿いの寺に多いのが特徴です。
よく見る仏像③|横になった仏像(涅槃仏)
巨大な寝釈迦仏。
初めて見ると驚きますが、
これは「死」を表しているわけではありません。
涅槃仏の意味
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すべての苦しみからの解放
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輪廻の終わり
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完成された悟り
だから表情は、
驚くほど穏やかで優しいのです。
タイの仏像が「怖くない」理由
日本の仏像には、
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怒った顔
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厳しい表情
のものもありますが、
タイの仏像は基本的に微笑んでいます。
これは、
悟りとは
恐れるものではなく、
安らぎに至る道である
という考え方の表れです。
仏像を見るだけで寺が分かる
仏像の種類に注目すると、
その寺の性格が見えてきます。
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悟りの仏像が中心 → 王室・格式高い寺
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説法の仏像が多い → 地域密着型の寺
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守護仏が多い → 生活と直結した寺
もう、
「なんとなく見る観光」は終わりです。
Day 6 のまとめ
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Tensui-
タイの仏像はポーズで意味が決まる
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すべてお釈迦さまの人生の場面
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仏像を見ると寺の役割が分かる
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お寺が“読める”ようになる
次回 Day 7 は
「僧侶の階級と修行生活」。
なぜ若い僧も高僧も同じ袈裟を着ているのか、
その裏側を解説します。 -