【タイの田舎の小さな家から】タイ古式マッサージを30日で学ぶ|Day4|ワット・ポーとタイ古式マッサージの聖地

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Day4|ワット・ポーとタイ古式マッサージの聖地

なぜこの寺が「総本山」と呼ばれるのか

バンコク観光で必ず名前が挙がる寺、
ワット・ポー(涅槃寺)

巨大な寝釈迦仏で有名ですが、
実はここ、
**タイ古式マッサージの“総本山”**として世界的に知られています。

今日は、
なぜワット・ポーが特別な存在なのかを見ていきましょう。


■ ワット・ポーは「マッサージ発祥の地」ではない

まず大切なポイントから。

ワット・ポーは、
タイ古式マッサージが生まれた場所ではありません。

それでも「総本山」と呼ばれる理由は、
マッサージを“体系化し、守り、教えた場所”
だからです。

つまり、
失われかけた伝統を
未来へつなぐ役割を果たした寺なのです。


■ ラーマ3世の国家プロジェクト

19世紀、ラーマ3世の時代。
当時のタイ(シャム)では、
戦争や社会変化により、
伝統医療の知識が失われつつありました。

そこで王は、
「知識を寺に集め、誰でも学べるようにしよう」
という壮大な国家プロジェクトを始めます。

その中心となったのが、ワット・ポーでした。


■ 石に刻まれた医学知識

ワット・ポーの境内を歩くと、
壁や石板に刻まれた不思議な図に気づきます。

それは

これらは、
口伝だけに頼らず、石に刻んで残した医学書なのです。

文字が読めなくても、
絵を見れば理解できるように工夫されていました。

まさに、
「屋外に作られた巨大な医学教科書」
それがワット・ポーでした。


■ 僧院 × 医学校 × 公共施設

当時の寺は、
祈るだけの場所ではありません。

これらを兼ね備えた、
地域の知の拠点でした。

ワット・ポーでは、
僧侶や医師が
一般の人々にマッサージや治療法を教え、
多くの人がここで学び、癒やされてきました。


■ 現在も続く公式マッサージスクール

現在のワット・ポーには、
タイ政府公認のマッサージスクールがあります。

ここで学んだ卒業生は、
世界中で活躍しており、
「ワット・ポー卒」は
一種のブランドでもあります。

観光客向けの短時間コースから、
本格的な資格取得まで、
幅広い教育が行われています。


■ なぜ「聖地」と呼ばれるのか

ワット・ポーが特別なのは、
技術だけではありません。

これらが一体となって存在しているからです。

施術の前に手を合わせる文化、
感謝と慈悲を大切にする姿勢。

それらすべてが、
この寺の空気の中で育まれてきました。


■ 観光で訪れるだけでは見えないもの

もしワット・ポーを訪れる機会があれば、
寝釈迦仏だけでなく、
石板の図や小さな説明にも目を向けてみてください。

そこには、
「人を癒やすとはどういうことか」
という問いへの、
静かな答えが刻まれています。


Tensui
👉 Day5では
「タイ古式マッサージがユネスコ無形文化遺産に登録された理由」
現代における評価と意味を解説します。
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