【 OMGスクール】第3回母親からの『言語のシャワー』と第三者からの『イマージョン教育』

「イマージョン教育」という言葉をご存じでしょうか。「Immersion=浸す事」。外国語を習得する有効な教育方法の一つで、カナダのケベック州で生まれ、今では世界各国のバイリンガル校で用いられています。
外国語に「どっぷり」と浸からせる事、つまり幼稚園児なら幼稚園での生活全て、小学生も学校生活全般(各教科、休み時間、ランチの時間など)全て外国語漬けとし、母語を習得するように自然にその年のネイティブと同じレベルでの外国語能力を習得させる学習スタイルのメソッドです。
注目すべきは、その結果が
①2言語(母語と外国語)とも年齢相当の語学力を習得できた
②片方の言語のみ年齢相当の語学力を習得できた
③2言語とも低い語学力のまま
と大きく3つのパターンに分かれる事です。
一日中外国語にどっぷり浸かっていても、2言語で一定以上の語学力を習得することが、必ずしも可能なわけではないという点です。
生徒が母語とは違う外国語に一日中どっぷり浸かったとしても、ネイティブが母語を保育者(母親など、安定的に日々の面倒を見ている人)から習得する時のような、発話を促したり、その返答に受け答えをしたり、おかしな言葉使いを直したり等、細かな応対を受けることは難しく、そのため大きな開きが出てくるのではないか、と私は推察しました。
もちろん教える側は誠心誠意様々なアプローチをしていると思われます。ただ大きな違いは、保育者からは生まれた直後から月齢やシチュエーションに合わせて「○○君、ママですよ~。」「はい、お昼ごはんですよ、お口開けて。あ~ん。」「美味しいね~。これが好き? ママもお芋が好きだよ。」など、その時々で一番適切な、数え切れないほどの言葉を何度も繰り返し語りかけられる点です。
また、言葉の複雑な働きに関係する脳の前頭前野は、保育者が語りかけている時が一番活性化されると言われており、更に早い家庭では生後半年後くらいから絵本の読み聞かせも始まり、なお一層言語のシャワーを浴びて育っていくのです。
保育者からと第三者からとでは、結果が違ってくるのは当然だと思いました。
このメソッドを知った時、私はある2人の語彙力の弱い生徒達の、言葉を覚える初期段階の生活環境について思いを巡らせたのです。
次回はこの2人の生活環境についてお話したいと思います。
(つづく:毎月1回連載予定、次回は6月5日号に掲載予定です)