【タイの田舎の小さな家から】タイの仏教を30日で学ぶ –Day 16 「戒(シーラ)」とは何か

Day 16
「戒(シーラ)」とは何か
— 心を守り、自由を育てるためのやさしい約束 —
仏教における修行の柱のひとつが、
**「戒(シーラ)」**です。
戒と聞くと、
「守らなければならない厳しいルール」
そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、タイ仏教では戒を
心を縛るものではなく、心を守るもの
として捉えます。
■ 戒は「禁止」ではなく「指針」
戒は、「〜してはいけない」という命令ではなく、
苦しみを増やさないための指針です。
ブッダは、
人が後悔や不安、罪悪感に苦しむ原因を見抜き、
それを避けるための行動の目安として戒を示しました。
■ 在家信者の基本「五戒」
タイ仏教の在家信者が大切にするのが、
**五戒(ごかい)**です。
-
命を奪わない
-
与えられていないものを取らない
-
不適切な性的行為をしない
-
嘘や人を傷つける言葉を使わない
-
心を乱すものに溺れない
これらは道徳というより、
心を穏やかに保つための生活の知恵です。
■ 戒を守ると、なぜ自由になるのか
戒を守ることで、
「隠すこと」「後悔すること」が減っていきます。
すると、
心が軽くなり、
瞑想やマインドフルネスが深まりやすくなります。
戒は、
心の安全装置のようなものなのです。
■ タイ仏教の柔らかな実践
タイでは、戒を
「完璧に守れなければ意味がない」
とは考えません。
大切なのは、
意識し、何度でも立ち戻ること。
守れなかった日があっても、
翌日にまた整え直せばいい――
その柔らかさが、長く続く秘訣です。
■ 戒は自由への土台
戒が整うと、
欲望や衝動に振り回されにくくなり、
選択の自由が生まれます。
だから戒は、
縛りではなく、
自由への土台なのです。
🔔 次回予告 – Day 17

明日は、
**「定(サマーディ)」**について学びます。
心を一点に落ち着かせる集中と静けさ。
瞑想がなぜ力を持つのか、
タイ仏教の実践とともに見ていきましょう。


















