紀元前から現在までの様々なタイのお宝を展示しているバンコク国立博物館。場所は中華街ヤワラートよりさらに奥。チャオプラヤー川のピンクラオ橋の近く、王宮前広場の向かい、タマサート大学の隣にあります。
スクムビット界隈に住む人には、若干行きにくい場所にありますが、仏教関係、王族関係の品から伝統工芸品まで、たくさんの貴重な展示物があり、タイの文化や歴史をもっと深く知りたいという人に、ぜひ一度行ってみてほしい場所です。
また、毎週水・木曜には、日本人ボランティアのガイドグループが、なんと日本語で館内を案内してくれます。
そこで、今回は、日本語ガイドツアーに参加してみました。
バンコク国立博物館は大きな展示館がひとつあるわけではなく、敷地内にたくさんの建物があり、順番に中を巡っていきます。タイの伝統の建築の物が多く、建物自体が展示物となっているものもあります。
例えば、一番最初に訪れた『プッタイサワン仏殿』は、その名前の通り、壁一面に仏教画が描かれている建物で、壁画のほか、天井も凝った装飾が施されており、圧巻の眺めです。
この建物内を見学できただけで、充分見学に来た価値がありそうですが、なんと、日本語ガイドによる壁一面に描かれたブッダの生涯のストーリーの解説を聞くことができました。
ブッダの両親の結婚式から始まり、ブッダの誕生、出家、悟り、そして最後に火葬されるシーンまで1枚1枚のストーリーを丁寧に解説してもらえます。今までなんとなく見ていたお寺の仏教画には、こんなストーリーが描かれているのだと、とても感心してしまいました。
『プッタイサワン仏殿』を見学した後は、各建物内をまわり、陶磁器や木彫りの箪笥、象牙でできた品などの伝統工芸品を見てまわります。そのほか、王族の葬儀で実際に使われる山車(だし)も展示されており、葬儀がある場合は、ワット・ポーから王宮前広場へ棺を運ぶために使われるそうです。
ツアーで一番見ごたえがあったのが、宗教美術、主に仏像の展示物です。
館内には数え切れないほどの仏像が展示してあり、ひとつの展示室に収まりきらず、数箇所、展示室を見てまわりました。
見た目にも立派な仏像はもちろんのこと、うっかり見過ごしてしまいそうな小さな仏像まで、そのひとつの解説を聞くにあたって、時代の背景、宗教、文化など様々な角度から、当時の様子を知ることができます。
スコータイ、アユタヤ、トンブリー、そして現在のチャクリー王朝時代と、なんとなく知っていたタイの歴史ですが、それぞれ詳しく知ることができました。
さらには、スコータイ時代よりも前、タイ族がタイを支配する以前の時代の解説もありました。
特に驚いたのは、現在のタイの仏教といえば、上座部仏教が主流ですが、過去には大乗仏教やヒンドゥー教なども信仰されていた形跡があり、その証拠となる観音菩薩像やヒンドゥー像を見ることができました。
日本人ガイドの方によると、特に仏像の解説は、当時栄えていた民族、宗教、文化が複雑に絡み合っているため、分かりやすく解説するのに、一番苦労する分野でもあるそうです。
今回館内をガイドしてくれた『バンコク国立博物館ボランティア・日本語ガイドグループ』は1974年に発足し、現在約40名の会員で成り立っています。
ツアー終了後に、ガイド活動について話を聞いてみたところ、なんと、ツアーのガイド原稿は、自分で出典を調べて作成したオリジナルのもので、共通のマニュアル本はなく、一人ひとりが自分で解説を考えるそうです。
もちろん、しっかりした基礎知識が必要になるため、勉強会、研修を重ね、自主勉強も怠らないとのこと。
毎年5月に新規会員を募集していますが、応募資格はタイに1年以上在住予定の女性とのことで、タイのことはまだ何も知らないという人でも参加OK。
はじめは、何かボランティアをしてみたい、タイのことをよく知りたいなどの動機で入会する人が多いそうですが、本格的な勉強が必要なため、とてもやりがいのある活動とのことです。
一方、ツアーの参加は誰でも気軽にOK。毎週水・木の9時半からスタートし、約2時間、館内を見てまわります。
意外にも、在タイの長い人がツアーに参加することも多く、タイについてはすでに知り尽くしたつもりでも、また新たな発見がある場所です。
興味のある人は、ぜひ参加してみて下さい。
2016年3月5日 タイ自由ランド掲載
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